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日本企業が米国上場で得る7つのメリットと失敗しない準備法
近年、日本企業の米国市場への上場が注目を集めています。特にヘルスケアスタートアップ企業のメディロムが、日本の株式市場で上場せず、ナスダックへ直接上場を果たす等、スタートアップ企業を中心にアメリカ市場への関心が広がっています。この流れは、グローバル化が進む現代において、日本企業が世界市場での競争力を高めるための重要な戦略的選択となっています。
そこで本記事では、日本企業が米国上場で得られる7つの主要なメリットと、上場準備を成功させるための具体的な方法について詳しく解説します。資金調達の規模拡大から国際的な信用力向上まで、米国上場がもたらす価値と、準備段階で陥りやすい落とし穴を回避する方法を包括的にご紹介します。
日本企業が米国上場を選ぶ7つのメリット
日本企業にとって米国上場は、単なる資金調達の手段を超えた戦略的な意義を持ちます。米国を中心とした国際的な機関投資家へのアクセスが容易になることや、グローバルでの知名度・信用力の向上、優秀な人材の採用・確保などが挙げられます。ここでは、米国上場がもたらす7つの主要なメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット1:圧倒的な資金調達力
米国市場の最大の魅力は、その圧倒的な資金調達力にあります。資金調達額も日本の3倍から10倍程度の10~40億円程度の調達が見込めることから、NASDAQ上場へ挑戦する日本企業が増えつつあります。実際の事例を見ると、ハートコアは売上高が約10億円にも関わらず、17億円の資金調達に成功しています。
日本市場と比較すると、2022年上半期における東証グロース市場の資金調達額の中央値は約3億円、前年同時期のマザーズ・ジャスダック市場は約6億円でしたが、NASDAQキャピタルマーケットでは3~10倍(10~40億円)の調達を見込むことができます。この資金調達力の差は、企業の成長戦略に大きな影響を与えます。
メリット2:グローバルでの知名度と信用力の向上
米国市場への上場は、企業の国際的な認知度を飛躍的に高めます。海外展開に力を入れている日本企業にとって一番のメリットは「知名度向上」ではないでしょうか。特に、米国のNYSEであれば、世界の中でも上場審査が厳しく、そこに上場していること自体が信用力となります。
この信用力の向上は、単なるブランディング効果にとどまりません。たとえ、会社の名前が知られていなくとも、「NYSEに上場しています」という一言で取引先からの見方は一転します。これは、新規顧客開拓や海外展開において、強力な武器となります。
メリット3:優秀な国際人材の獲得
グローバル市場での存在感は、人材採用においても大きなアドバンテージとなります。優秀な国際人材の採用に有利であるという点は、多くの日本企業が米国上場を検討する重要な理由の一つです。
米国市場に上場している企業は、世界中の優秀な人材から注目される存在となります。特に、技術系スタートアップやIT企業にとって、グローバルな人材プールへのアクセスは、イノベーション創出の原動力となります。ストックオプションなどのインセンティブも、米国市場の流動性の高さから、より魅力的なものとなります。
メリット4:継続的な資金調達機会の拡大
米国市場の特徴として、上場後の資金調達機会の豊富さが挙げられます。上場後におけるFollow on Public Offering(IPO後の公募での資金調達)ができる機会が、東証上場会社と比較して多いという点は、成長企業にとって非常に重要です。
日本市場では、一度上場すると追加の公募増資は困難なケースが多いですが、米国市場では成長企業への投資意欲が高く、事業拡大に必要な資金を継続的に調達できる環境が整っています。これにより、企業は長期的な成長戦略を描きやすくなります。
メリット5:M&Aにおける戦略的優位性
米国上場企業としてのステータスは、M&A戦略においても大きな利点をもたらします。海外企業の買収に際して現金を対価とせず、上場自社株の交付により買収することが可能になるため、資金効率的な成長戦略を実行できます。
特に、海外企業の買収を検討する際、米国市場に上場している自社株式は、現地企業にとって魅力的な対価となります。これにより、現金を温存しながら積極的な買収戦略を展開することが可能となり、グローバル展開を加速させることができます。
メリット6:企業価値評価の向上可能性
米国市場は、特定のビジネスモデルや成長性に対して、より高い評価を与える傾向があります。ビジネスモデル、将来の成長性、エクイティストーリー等によっては、東証上場より企業価値評価が高いケースがあるという点は、多くの成長企業にとって魅力的です。
特に、新しい産業(メタバース・生成AIなど)やディープテック企業に関しては、国内上場と比較して上場しやすいという特徴があります。革新的な技術やビジネスモデルを持つ企業は、米国投資家からより適切な評価を受けられる可能性が高くなります。
メリット7:迅速な上場プロセス
意外に思われるかもしれませんが、条件によっては米国上場の方が日本より迅速に実現できる場合があります。日本のIPOでは、上場の準備に少なくとも3年という期間がかかりますが、NASDAQの場合は最短で半年で上場することが可能です。
この準備期間の短縮は、年間の売上高が1億ドル未満といった要件を満たす企業は内部統制が免除され、さらに2期分の過年度監査となりますので、日本よりも圧倒的に早く上場することができます。成長スピードが速い企業にとって、この時間的優位性は大きな魅力となります。
米国上場の形式と要件
米国上場を検討する日本企業にとって、どのような形式で上場するか、どの市場を選ぶかは重要な戦略的判断となります。ここでは、主要な上場形式と各市場の要件について解説します。
FPI(外国民間発行体)としての優遇措置
日本企業が米国上場をするケースでは、大半が外国民間発行体(FPI:Foreign Private Issuer)の条件に該当します。FPIに該当することで、多くの優遇措置を受けることができます。
主な優遇措置として、US GAAP以外に、IFRS会計基準を適用した(連結)財務諸表、または日本基準の(連結)財務諸表にUS GAAPへのReconciliation(基準差異の定量的調整表)を添付した(連結)財務諸表で上場が可能です。また、四半期報告書の提出要件が免除されます。ただし、半期報告書(未監査)の提出は必要となります。
EGC(新興成長企業)の特別措置
直近会計年度の年間総収入が12億3,500万ドル未満の会社は、EGC(Emerging Growth Companies)に該当するので、監査法人による内部統制監査(SOX 404(b))について、上場後、最長で5年間免除されるなど優遇措置があります。
EGCの優遇措置には、届出書に(直近3期分ではなく)直近2期分の(連結)財務諸表で済むことや、経営者による財政状態および経営成績の検討と分析(MD&A)は財務諸表の会計年度に限定(直近2期分)されるなど、準備負担を大幅に軽減する内容が含まれています。
ADRによる上場方式
通常、日本企業はADRの仕組みを利用して上場します。ADRは、米国投資家が米国以外の非米国企業に米ドル建てで投資できるように作られたもので、非米国企業の株式を裏付けとして、米国株式市場での流通を目的に発行される証券です。
ADRには複数のレベルがあり、日本企業が米国市場に上場するケースで公募を伴う場合は、Level3のADRが必要になります。ただし、最近ではADRプログラムを利用しない普通株式での米国上場スキームを利用してSECに上場申請をしている日本企業も見受けられます。
市場別の上場要件
米国には複数の証券市場があり、それぞれ異なる上場要件が設定されています。Nasdaqには、「Global Select Market」「Global Market」「Capital Market」の3つの市場があります。
例えば、Nasdaq Capital Marketの場合、株主資本500万ドル、浮動株の時価総額1,500万ドル、事業継続期間2年などの要件があります。一方、NYSE Americanでは、税引前利益75万ドル、浮動株の時価総額300万ドル、株主資産400万ドルといった基準が設定されています。
企業の規模や成長段階に応じて、最適な市場を選択することが重要です。特に、新興企業にとっては、要件が比較的緩やかなNasdaq Capital MarketやNYSE Americanが現実的な選択肢となることが多いでしょう。
米国上場プロセスの全体像
米国上場を実現するためには、綿密な計画と体系的な準備が不可欠です。ここでは、上場プロセスの全体像と各段階で必要となる作業について詳しく解説します。
準備期間とタイムライン
日本企業が米国市場へ上場するまでに必要な期間は、発行体の事業内容や企業の規模等によって異なりますが、通常16~24ヵ月程度は必要です。企業規模が小さく、ビジネスが複雑でない場合かつ子会社等がない場合は、1年で上場できるケースもあります。
より詳細には、一般的には2~3年程度の準備期間を設けて、財務報告、開示、ガバナンスの整備をはじめとして、さまざまなタスクを推進していきます。ただし、一定の要件が満たされる場合、準備プロジェクト立ち上げから約1年間(やそれ以内)での米国上場が達成されたという事例もあります。
初期段階:プロジェクトチームの組成
米国上場準備の第一歩は、適切なプロジェクトチームの組成です。プロジェクトの推進には、経理、経営企画、IR、内部統制・内部監査等の管理部署のメンバーを中心としながら、必要に応じて営業、開発、人事・総務などを含めるような全社的な体制が必要となります。
特に重要なのは、社内チームの中核にはなるべく強力なスキルや社内での影響力を備えたコアメンバーを数名配置するのが効果的です。これらのメンバーは、米国上場に求められる専門知識や英語スキル等をある程度吸収しながら対応できるようなメンバーを選任することが望ましいと考えられます。
専門家チームの選定
社外の専門家チームの選定も、成功の鍵を握ります。米国法弁護士事務所はさまざまな法務リスク等について助言するとともにSECへ提出する上場登録書類(F-1)のドラフトの多くの部分を作成します。
監査法人の選定においては、PCAOB監査に対応できる日本の監査法人が限られていることから、米国の比較的小規模な監査法人を選定するケースが見受けられます。しかし、監査法人は、上場後も引き続きPCAOB監査を継続することもあり、選定は慎重に行うべきです。
財務諸表の準備と監査対応
米国上場において最も時間と労力を要する作業の一つが、財務諸表の準備です。届出書に直近3期分のUS GAAPもしくはIFRS会計基準を適用した監査済(連結)財務諸表(EGCに該当する場合は、直近2期分)が必要となります。
実務的には、米国の会計基準に従った財務諸表が必要になりますので、日本基準から米国基準へ変換する必要があります。この変換作業には、有給休暇の会計処理等大きく異なる部分もありますので、注意が必要です。
SEC審査プロセス
SEC(米国証券取引委員会)の審査は、米国上場プロセスの中でも特に重要な段階です。届出書ファイリングから30日以内でSECより初回のレビューコメント(SECレビューによる指摘事項・質問事項を列挙)を受領し、その後、コメントレター受領より1~2週間で、回答レターおよび修正版の届出書をファイリングするプロセスを繰り返します。
これらのプロセスは、届出書提出からSECの効力発生まで3~4ヵ月を要します。重要なのは、SECによる届出書の効力が発生していない場合、上場延期となり、上場スケジュールに影響しますのでご留意ください。
内部統制とガバナンス体制の構築
米国上場企業として求められる内部統制とガバナンス体制は、日本の基準とは大きく異なります。ここでは、US-SOX法への対応を中心に、必要な体制構築について解説します。
US-SOX法の要求事項
米国には、巨額不正会計事件の発生を契機に2002年に成立したサーベンス・オクスリー法(Sarbanes Oxley法)に由来する、一般に「US-SOX」と呼ばれる内部統制制度があります。この制度は、財務数値に直結する個別の諸プロセスの統制だけでなく、年次報告等における財務数値以外の開示全般に係る開示統制に加え、CEO・取締役会等を頂点とした全社的な統制も対象となっております。
特に重要なのは、経営者は上場後、年次報告書および四半期報告書において財務報告の適正性について宣誓しなければなりません(SOX302、906)。また、経営者による内部統制(ICFR:Internal Controls over Financial Reporting)に対する年次評価と報告(SOX404(a))、および監査法人による内部統制監査(SOX 404(b))が必要となります。
日本との内部統制の違い
US SOX法で求められる内部統制は、日本における財務報告に係る内部統制報告制度で求められる内部統制と比べると、重要な事業拠点や重要な業務プロセスが広範囲となり、内部統制の深度・粒度が求められます。
さらに、US-SOXの内部統制対応は日本の上場企業が行う「J-SOX法(内部統制報告制度)」よりも広範になることが多く、また、監査人の内部統制監査が経営者の評価をなぞるのではなく、独自に行われる建付けとなっていることにも注意が必要です。
内部統制構築のプロセス
内部統制の導入から運用には時間がかかるため、上場準備段階から導入計画を立案・実行する必要があります。具体的には、以下の6つのステージを経て構築を進めます。
1. 計画とコーディネーション:関連するプロセスの特定と優先順位付け
2. コントロールの文書化:重要な財務報告プロセスとコントロールの文書化
3. デザイン評価:ウォークスルーを通じたギャップの特定
4. 有効性の評価:テストの実行とギャップの特定
5. 修正措置:識別されたギャップの改善
6. 継続的な評価:キーコントロールの継続的なテスト
ガバナンス要件への対応
米国ではNYSE(ニューヨーク証券取引市場)、Nasdaqの市場それぞれにガバナンスの要求事項があり、通常、日本企業の場合はFPIとして自国の規制である会社法のガバナンス規定が優先されるものの、一部は米国上場企業として満たすべき条件(例えば、取締役のダイバーシティ要件など)があります。
これらの要件は、企業経営のハイレベルな規定や役員など経営陣の人事にも関連することが多く、十分なリードタイムをもって要求事項を確認し、取り組む必要があります。
米国上場で失敗しないための重要ポイント
米国上場には多くのメリットがある一方で、準備不足や認識不足により失敗するケースも存在します。ここでは、成功のために特に注意すべきポイントを解説します。
明確なビジョンと戦略の必要性
本当の意味で「実のある」米国上場を達成し、サステナブルに上場を維持するためには、企業の経営者自身が、「なぜ(日本ではなく)米国の市場で上場するのか」という問いについて、事業の現状と将来の展望を踏まえて透徹した視点で戦略的に検討し、多くのステークホルダーが納得し得る広範な視野と長期的ビジョンを持つことが重要となります。
この点が曖昧だと、説得的なエクイティストーリーが描けず、海外投資家の支持を得られなくなる可能性があります。さらに、上場を推進する社内のチームにおいて、準備プロセスで直面するさまざまな困難なタスクを遂行するための士気が継続しなくなることも考えられます。
上場後の課題への備え
2010年代後半から現在に至る米国上場のトレンドが新しい特徴を有していることは注目に値します。具体的には、上場した企業の多くが比較的小規模なベンチャー企業であること、各企業の上場後の海外事業の展開・拡大が上場前の期待通りでない事例が多いこと、および米国を含む海外投資家からの評価もかんばしいと言えない事例が多いことが挙げられます。
実際、仮に上場できたとしても株価が低迷し、何のための上場かという意義を見失ってしまい、数年以内で米国市場から撤退するといった状況も実際に散見されます。このような事態を避けるためには、上場後の成長戦略と実行体制を事前に構築しておくことが不可欠です。
コスト面での現実的な認識
米国上場には相応のコストがかかることを認識しておく必要があります。上場にかかるイニシャルコスト(弁護士費用、監査費用、会計アドバイザリー費用など)が、東証上場と比較して高いだけでなく、上場後における上場維持コスト(弁護士費用、監査費用、役員賠償責任保険(D&O)など)が、国内上場と比較して高い。また、上場後2年経過すると内部統制監査のコスト負担増がより大きくなるという現実があります。
人材確保の重要性
英語力だけでなく、会計知識も合わせ持った人材の確保が必要です。特に、上場準備段階から米国の監査法人とのやり取りが頻繁に発生するため、米国の監査法人は日本の法律や商習慣の知見がないため、英語での説明が求められるという実務的な課題に対応できる人材が不可欠です。
また、上場を維持するためには経理、IR、法務担当部署などに英語が堪能な人材が不可欠であり、長期的な視点での人材戦略が必要となります。
成功事例から学ぶ米国上場の実際
実際に米国上場を果たした日本企業の事例から、成功のポイントを学びましょう。2023年に入り数多くの日本企業がNasdaqへ上場を果たし、また、JEPLANもNYSEへの上場準備中と注目が集まる米国上場という状況の中、各社がどのような戦略で上場を実現したのかを見ていきます。
近年の日本企業の米国上場動向
2024年6月末現在、NYSE(Main Board)にはトヨタ自動車、ソニーグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループなど10社が上場しており、Nasdaqに上場している日系企業も増加しています。特に注目すべきは、NYSE(Main Board)に上場している日本企業は東証との重複上場ですが、米国市場に上場している会社は東証に上場していないNasdaq単独上場企業です。
多様な上場形態の活用
日本企業の米国上場には、様々な形態が見られます。くら寿司は、米国のカリフォルニア州に子会社(Kura Sushi USA, Inc.)を設立し、子会社が2019年8月にNASDAQのグローバルマーケットに上場しました。一方、メディロムは、新規株式を発行せず、既に発行済みの株式だけで上場する『ダイレクトリスティング』という手法で、2020年12月にキャピタルマーケットへ上場しました。
また、日本本社を米国に移転(コーポレート・インバージョン)後、米国企業としてNasdaq上場する企業や、日本本社をケイマンにコーポレート・インバージョン後、ケイマン企業(持株会社)としてNasdaq上場する企業など、多様な戦略が採用されています。
米国上場準備を成功に導く実践的アプローチ
最後に、米国上場準備を確実に成功させるための実践的なアプローチについて解説します。これまでの内容を踏まえ、具体的な行動指針を示します。
段階的な準備戦略
上記の通り米国上場に係る準備の第一歩は、「なぜ米国に上場するのか」という問いに経営陣が明確な答えを持ち、ビジョンを打ち立てることです。その次のステップとしては、上場までに必要なタスクを洗い出すこと、希望する上場達成時期を確定しそれらを実行するためのタイムラインを計画すること、そしてこうしたタスクやタイムラインに対応した準備を遂行できる社内リソースや社外の専門家チーム(社外パーティ)を組織することがあります。
IR・マーケティング戦略の構築
米国上場に向けたタスク領域として、米国を中心とした海外投資家に訴求するエクイティストーリーを構築および開示したり、海外投資家に焦点を当てたマーケティング戦略を検討したりするIR・マーケティングの領域があります。
特に重要なのは、米国市場に精通したIR・市場専門家を巻き込みながら、セクターに専門性のあるファンドマネージャー等を通じて米国市場の投資家層にもアクセスするなど、専門家ネットワークを活用することも重要な鍵となります。
継続的な体制強化
上場後の成功を見据えた体制強化も重要です。日米2つの基準に対応できる決算体制の確立が必要であり、NASDAQ上場後も税務申告や決算公告があるため、日本基準にもとづく決算が必要である一方、NASDAQ上場後は、米国基準に即した財務諸表を四半期ごとに作成する必要があるという二重の負担に対応する必要があります。
対策として、決算体制の強化だけでなく、ITシステムを使った効率化も求められるため、早期からシステム投資を含めた体制整備を進めることが重要です。
外部リソースの効果的な活用
全てを自社で対応しようとすると、かえって非効率になることがあります。現在のリソースで対応できる範囲を見極め、対応が難しい部分は外部にアウトソーシングしたほうが効率的です。特に、専門性の高い領域については、経験豊富な外部アドバイザーの活用が成功の鍵となります。
まとめ
日本企業の米国上場は、グローバル市場での競争力を高め、成長を加速させる重要な戦略的選択肢です。圧倒的な資金調達力、国際的な信用力の向上、優秀な人材の獲得など、7つの主要なメリットは、企業の成長戦略に大きな可能性をもたらします。
一方で、成功のためには明確なビジョン、適切な準備体制、そして継続的な改善が不可欠です。特に、内部統制の構築、英語対応可能な人材の確保、コスト面での現実的な認識など、事前に対処すべき課題も少なくありません。
重要なのは、米国上場を単なる資金調達の手段としてではなく、企業のグローバル成長戦略の一環として位置づけることです。準備段階から上場後まで、一貫した戦略と実行力を持って取り組むことで、真に「実のある」米国上場を実現できるでしょう。
詳しい資料は以下よりご確認いただけます。


