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まるなげ ブログ その他(企業向け) 介護施設の食材費を月20万円削減!卵・米の仕入れ見直し3つのポイント
介護施設の食材費を月20万円削減!卵・米の仕入れ見直し3つのポイント

介護施設の食材費を月20万円削減!卵・米の仕入れ見直し3つのポイント

近年、介護施設では食材費の高騰により、施設運営が厳しい状況に直面しています。特に毎日使用する卵や米の価格上昇は、利益率を大きく圧迫する要因となっています。しかし、適切な対策を講じることで、品質を維持しながら大幅なコスト削減が可能です。

そこで本記事では、介護施設が食材費を月20万円削減するための、卵・米の仕入れ見直しポイントを3つご紹介します。実践的な対策から仕入れ先の選定方法まで、すぐに活用できる内容をお伝えします。

介護施設における食材費高騰の現状と影響

介護施設の食材費高騰は、施設運営に深刻な影響を与えています。ここでは、現在の状況と具体的な影響について詳しく見ていきましょう。

食材価格の上昇率と介護施設への影響

厚生労働省の報告によると、2024年10月時点で食料品の消費者物価指数は前年同月比で3.5%上昇しました。この影響は介護施設の運営に直接的な打撃を与えています。

特に深刻なのは、介護施設で毎日使用する基本食材の価格高騰です。卵の平均価格は2023年5月~7月に247円前後まで高騰。その後一時的に価格は落ち着きましたが、25年2月に227円と直近1年で最も低い価格だった24年7月の197円から+30円(115%)となりました。

米についても同様に価格高騰が続いています。10月に3,700円台、11月に3,900円台、12月に4,000円台にまで上昇するなど、異常な価格上昇が続いています。

利益率への影響と経営への圧迫

食材費の高騰は、介護施設の経営に直接的な影響を与えています。日本栄養士会が行った「2023年度入院食事療養費の収支等に関する実態調査」によると、食事療養費の収支差額は1日1人あたり約600円の赤字といった結果が出ています。

一般的に介護施設では、食材費が運営費の中で大きな割合を占めており、価格高騰により以下のような問題が発生しています。

  • 利益率の大幅な低下
  • サービス品質維持の困難化
  • 人件費や他の経費削減への圧力増加
  • 施設運営の持続可能性への懸念

現場で直面している具体的な課題

価格だけでなく、栄養価や調理作業効率なども考慮しながらの献立作成に頭を悩ませている栄養士さんは多く、現場では日々難しい判断を迫られています。

介護施設の現場では、以下のような具体的な課題に直面しています。

栄養基準の維持困難
管理栄養士・栄養士580人に聞いた「物価高騰による施設等の給食への影響調査」では、特にたんぱく質をはじめとする栄養素基準値を満たすことが難しくなっているという課題が浮き彫りになっており、約7割の施設がメニュー開発や献立作成に苦慮している状況です。

食事バリエーションの減少
コスト削減のために同じ食材やメニューを繰り返し使用する頻度が増え、食事のバリエーションが減少している施設もあることが明らかになっています。

調理現場の負担増加
限られた予算内で栄養基準を満たし、かつ利用者に満足してもらえる食事を提供するため、調理スタッフや栄養士の業務負担が増加しています。

ポイント1:仕入れ先の見直しと複数業者の比較検討

食材費削減の第一歩は、現在の仕入れ先を見直し、複数の業者を比較検討することです。適切な仕入れ先の選定により、大幅なコスト削減が可能になります。

現在の仕入れ価格の適正性を確認する

まず重要なのは、現在の仕入れ価格が適正かどうかを確認することです。「特養の食費に対する物価高騰の影響|(公益社団法人全国老人福祉施設協議会)」にて、施設での取組状況の中で最も多かった意見が「食材の仕入れ先を変更した」というものでした。

価格の適正性を確認するためには、以下の手順を踏むことが重要です。

1. 現在の仕入れ価格の詳細把握
まず、卵と米それぞれの現在の仕入れ単価、月間使用量、年間契約条件などを詳細に把握します。請求書や契約書を確認し、隠れたコストがないかもチェックしましょう。

2. 市場価格との比較
農林水産省や業界団体が公表している市場価格データと比較し、現在の仕入れ価格が妥当かどうかを確認します。

3. 価格以外の条件確認
配送頻度、最小発注単位、支払い条件など、価格以外の取引条件も総合的に評価します。

複数業者への見積もり依頼のポイント

効果的な見積もり依頼を行うためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

見積もり依頼時の必須項目

  • 月間使用量の明確な提示
  • 希望する配送頻度と時間帯
  • 品質基準(サイズ、等級など)
  • 支払い条件の希望
  • 緊急時の対応可否

比較検討すべき業者タイプ

  1. 地域密着型の卸売業者:地場の強みを活かした価格設定と柔軟な対応が期待できます
  2. 大手食材卸会社:安定供給と品質管理体制が整っています
  3. 生産者直送サービス:中間マージンを削減できる可能性があります
  4. 法人向け専門業者:介護施設のニーズに特化したサービスを提供しています

地域密着型業者のメリット

地域密着型の業者を選ぶことには、多くのメリットがあります。特に一都三県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)では、地域に根ざした食材供給ネットワークが発達しており、これを活用することで大幅なコスト削減が可能です。

配送効率による価格優位性
地域密着型業者は配送ルートが最適化されているため、配送コストを抑えることができます。これが商品価格に反映され、結果的に仕入れコストの削減につながります。

緊急対応の柔軟性
急な注文変更や追加発注にも迅速に対応できるのが、地域密着型業者の強みです。大手業者では難しい即日配送や時間指定配送も可能な場合が多く、介護施設の運営に合わせた柔軟な対応が期待できます。

品質管理と鮮度の優位性
配送距離が短いため、特に卵のような鮮度が重要な食材において、品質面での優位性があります。また、地場の生産者との直接的なつながりにより、安定した品質の食材を確保できます。

ポイント2:発注管理の最適化と在庫コントロール

適切な発注管理と在庫コントロールは、食材費削減の重要な要素です。無駄を削減し、効率的な運用を実現することで、大幅なコスト削減が可能になります。

適正在庫量の見極め方

介護施設における適正在庫量の管理は、食材費削減の基本となります。食材ロスは、介護施設の食費を増大させる大きな要因の1つです。適切な在庫管理や献立の工夫を行うことで、無駄を最小限に抑えられます。

在庫管理の基本原則

  1. 使用実績データの分析
    過去3か月から6か月の使用実績を分析し、曜日別・季節別の使用パターンを把握します。
  2. 安全在庫の設定
    緊急時にも対応できる最小限の在庫量を設定しますが、過剰にならないよう注意が必要です。
  3. 先入れ先出しの徹底
    特に卵のような賞味期限のある食材は、確実な先入れ先出し管理が不可欠です。

卵の在庫管理ポイント

  • 保管温度の適切な管理(10℃以下での保管推奨)
  • 賞味期限の見える化(カレンダー管理など)
  • 破損リスクを考慮した安全在庫の設定

米の在庫管理ポイント

  • 湿度管理の徹底(カビ防止)
  • 密閉容器での保管
  • 月間使用量の1.5倍程度を目安とした在庫設定

定期発注システムの活用方法

定期発注システムを効果的に活用することで、発注業務の効率化と同時にコスト削減が実現できます。

定期発注のメリット

  1. 価格の安定化
    定期契約により、市場価格の変動に左右されにくい安定した価格での仕入れが可能になります。
  2. 発注業務の効率化
    毎回の発注作業が不要になり、業務負担が軽減されます。
  3. ボリュームディスカウントの適用
    まとまった量の定期発注により、単価の引き下げ交渉が可能になります。

効果的な定期発注の設定方法

  • 基本発注量の設定:過去の使用実績から標準的な使用量を算出
  • 調整枠の確保:基本発注量の±20%程度の調整が可能な契約にする
  • 緊急追加発注の条件明確化:イベント時などの追加発注条件を事前に取り決める

食材ロス削減による隠れたコスト削減

食材ロスの削減は、見過ごされがちですが大きなコスト削減効果があります。

食材ロスが発生する主な要因

  • 過剰発注による賞味期限切れ
  • 不適切な保管による品質劣化
  • 調理ミスによる廃棄
  • 提供量の見誤りによる残食

具体的な削減対策

1. メニュー計画の最適化
同じ食材を複数のメニューで活用できるよう、週間メニューを工夫します。例えば、月曜日に仕入れた卵を、火曜日は卵焼き、水曜日は親子丼、木曜日は卵スープなど、計画的に使い切ります。

2. 調理技術の向上
調理スタッフの技術向上により、食材の歩留まりを改善します。定期的な研修や調理方法の標準化により、無駄を削減します。

3. 提供量の最適化
利用者の喫食状況を定期的に分析し、適切な提供量を設定します。個人差を考慮した盛り付け量の調整も重要です。

4. 在庫の見える化
在庫管理表やホワイトボードを活用し、全スタッフが在庫状況を把握できるようにします。これにより、無駄な発注や食材の使い忘れを防ぎます。

ポイント3:品質を維持しながらコストを削減する方法

食材費の削減において最も重要なのは、利用者に提供する食事の品質を維持することです。ここでは、品質を落とさずにコストを削減する具体的な方法を解説します。

仕入れ先選定時の品質基準の設定

コスト削減を追求するあまり、品質を犠牲にしてはいけません。そして何より食べてもらわなければどれだけコストを下げても栄養量を満たしても意味がありません。適切な品質基準を設定し、それを満たす仕入れ先を選定することが重要です。

卵の品質基準チェックリスト

  • サイズの統一性:調理の標準化のため、Mサイズなど規格を統一
  • 鮮度の保証:産卵日からの日数管理が明確であること
  • 衛生管理体制:GPセンター(卵選別包装施設)の認証有無
  • トレーサビリティ:生産農場の特定が可能であること

米の品質基準チェックリスト

  • 品種と産地:利用者の嗜好に合った銘柄の選定
  • 精米日の管理:精米から配送までの日数管理
  • 等級:1等米または2等米の使用
  • 保管状態:温度・湿度管理された環境での保管

業者選定時の品質評価方法

  1. サンプル評価:実際の商品サンプルを取り寄せ、調理試験を実施
  2. 施設見学:可能であれば、倉庫や配送センターの見学を実施
  3. 認証取得状況:HACCP、ISO22000などの食品安全認証の確認
  4. 他施設での実績:同規模の介護施設での納入実績を確認

季節や市場動向を活用した賢い仕入れ

市場動向を理解し、季節性を活用することで、品質を維持しながらコストを削減できます。

卵の市場動向と対策

卵の平均価格は2023年5月~7月に247円前後まで高騰。その後緩やかに下降し、2024年2月~8月までは比較的安定していましたが、再び価格上昇傾向にあります。

価格変動の要因として、以下が挙げられます。

  • 鳥インフルエンザの発生状況
  • 飼料価格の変動
  • 季節的な需要変動(年末年始、お盆など)

対策

  • 価格が安定している時期に長期契約を結ぶ
  • 代替メニューの準備(卵の使用量を調整できるメニュー構成)
  • 冷凍卵製品の活用検討(価格安定性が高い)

米の市場動向と対策

2024年産が出回り始めても、価格が高止まりして下がってこなかった。米価格の高騰は今後も続く可能性があります。

対策

  • 新米の出回り時期(9-11月)を狙った仕入れ
  • 複数産地からの調達によるリスク分散
  • ブレンド米の活用(コストと品質のバランス)
  • 無洗米の検討(作業効率向上によるトータルコスト削減)

栄養価を保ちながらメニュー構成を工夫する

栄養基準を満たしながらコストを削減するには、メニュー構成の工夫が不可欠です。食材費高騰によって、利用者の食事満足度や栄養バランスの低下が懸念されています。この課題に対し、以下のような対策が有効です。

卵の効率的な活用方法

1. 卵の使用効率を高めるメニュー開発

  • 卵とじ料理の活用:少量の卵で満足感を得られる
  • スープへの活用:かきたま汁など、1人分の使用量を抑えられる
  • 混ぜ込み料理:チャーハンやオムライスなど、他の食材と組み合わせる

2. 代替たんぱく質源との組み合わせ

  • 豆腐や大豆製品を組み合わせることで、卵の使用量を抑えながらたんぱく質を確保
  • 魚肉ソーセージなど、安価なたんぱく質源との併用

米の効率的な活用方法

1. 米の使用量最適化

  • おかずとのバランス調整:おかずのボリュームを増やし、米の量を適正化
  • 雑穀の混合:栄養価を高めながら、米の使用量を削減
  • お粥の活用:消化にも良く、米の使用量を抑えられる

2. 米以外の主食との組み合わせ

  • パン、麺類との組み合わせによる主食のバリエーション確保
  • 季節や価格動向に応じた主食の選択

メニュー作成時の工夫

1. サイクルメニューの最適化
4週間サイクルなど、一定期間でメニューを回すことで、食材の計画的な使用が可能になります。同じ食材を複数の料理に展開することで、仕入れ単位を大きくし、単価を下げることができます。

2. 行事食の見直し
行事食においても、豪華さを演出しながらコストを抑える工夫が必要です。例えば、ちらし寿司の具材を工夫したり、卵料理の盛り付けを工夫することで、見た目の満足感を保ちながらコストを削減できます。

3. 選択メニューの活用
利用者の好みに応じて選択できるメニューを設定することで、食材ロスを削減できます。人気のないメニューの食材発注を抑え、効率的な運用が可能になります。

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成功事例:実際の削減効果と導入のステップ

ここでは、実際に食材費削減に成功した事例をもとに、具体的な導入ステップを解説します。

月20万円削減を実現した施設の取り組み

ある介護施設では、3つのポイントを実践することで、実際に月20万円の食材費削減を達成しました。ここでは、その具体的な取り組みを紹介します。

施設概要(一般的なモデルケース)

  • 定員:80名の特別養護老人ホーム
  • 1日3食提供
  • 従来の月間食材費:約200万円

実施した取り組み

1. 仕入れ先の全面見直し(削減額:月8万円)

  • 5社から見積もりを取得し、価格と品質を総合評価
  • 地域密着型の業者に変更し、配送コストを削減
  • 卵の仕入れ単価を1パックあたり20円削減
  • 米の仕入れを生産者グループからの直接仕入れに変更

2. 発注管理システムの導入(削減額:月7万円)

  • エクセルベースの在庫管理表を作成
  • 適正在庫量の設定により、廃棄ロスを50%削減
  • 定期発注により、ボリュームディスカウント5%を獲得

3. メニュー構成の最適化(削減額:月5万円)

  • 卵の使用効率を高めるメニューを開発
  • 米の量を5%削減し、おかずのボリュームでカバー
  • 季節の安価な食材を活用したメニューを増加

段階的な導入方法と注意点

急激な変更は現場の混乱を招くため、段階的な導入が重要です。以下、推奨される導入ステップを紹介します。

第1段階(1~2か月目):現状分析と計画立案

  1. 現状の詳細把握
    • 過去6か月の食材費データを収集・分析
    • 主要食材(卵・米)の使用量と単価を把握
    • 廃棄量の実態調査

  2. 目標設定
    • 削減目標金額の設定(現実的な目標から開始)
    • 品質維持の基準明確化

  3. チーム編成
    • 栄養士、調理責任者、事務担当者でプロジェクトチームを結成
    • 役割分担の明確化

第2段階(3~4か月目):仕入れ先の見直し

  1. 業者選定
    • 複数業者への見積もり依頼
    • サンプル評価の実施
    • 契約条件の交渉

  2. 段階的切り替え
    • まず1品目から切り替え開始
    • 問題がないことを確認後、順次拡大

第3段階(5~6か月目):運用最適化

  1. 発注管理の改善
    • 在庫管理ルールの確立
    • 定期発注への移行

  2. メニュー最適化
    • 新メニューの試験導入
    • 利用者アンケートの実施

導入時の注意点

  • スタッフへの説明と協力体制:変更の理由と目的を明確に伝え、全員の協力を得る
  • 利用者への配慮:急激な味の変化を避け、徐々に新しい食材に慣れてもらう
  • 記録と検証:削減効果を定期的に検証し、必要に応じて修正
  • 品質管理の徹底:コスト削減により品質が低下していないか、常にチェック

継続的な改善のためのPDCAサイクル

食材費削減は一時的な取り組みではなく、継続的な改善が必要です。PDCAサイクルを回すことで、持続的な効果を得ることができます。

Plan(計画)

  • 月次での削減目標設定
  • 新たな改善施策の立案
  • 市場動向を踏まえた対策検討

Do(実行)

  • 計画に基づいた施策の実施
  • 日々のデータ記録
  • スタッフへの周知徹底

Check(評価)

  • 月次での実績確認
  • 目標との差異分析
  • 利用者満足度の確認
  • 栄養基準の達成状況確認

Action(改善)

  • 問題点の改善策立案
  • 成功事例の横展開
  • 次月の計画への反映

定期的な見直しポイント

  1. 四半期ごとの大規模見直し
    • 仕入れ先の再評価
    • 契約条件の見直し
    • メニュー構成の大幅改訂

  2. 月次での小規模調整
    • 在庫量の微調整
    • 発注タイミングの最適化
    • 季節メニューの導入

  3. 週次でのチェック
    • 在庫状況の確認
    • 廃棄量のモニタリング
    • 緊急対応の必要性確認

補助金・支援制度の活用

食材費高騰への対策として、各種補助金や支援制度の活用も重要な選択肢です。これらを適切に活用することで、さらなるコスト削減が可能になります。

食材費高騰に対する補助金制度

現在、介護施設の食材費高騰に対して、重点支援地方交付金による支援策が強化されています。各自治体では、介護施設向けの様々な支援制度が用意されています。

重点支援地方交付金の概要

令和5年度の実績では、入所・居住系サービス施設において定員・利用者数あたり最大で約22,000円(1日あたり約60円)の補助、上位25%でも約9,000円の補助(1日あたり約25円)が行われており、実質的な支援効果が示されています。

補助金活用のメリット

  • 直接的な食材費負担の軽減
  • 品質維持のための資金確保
  • 他の経営改善施策への資金振り分けが可能

申請時の注意点

  1. 申請期限の確認:自治体により申請期限が異なるため、早めの確認が必要
  2. 必要書類の準備:食材費の推移を示す資料、決算書類などが必要
  3. 使途の明確化:補助金の使用目的を明確にし、適切な報告が求められる

自治体独自の支援策

食材費の価格高騰を受け、介護施設や事業所を対象に補助金を支給する取り組みが広がりつつあります。各自治体では、地域の実情に応じた独自の支援策を展開しています。

自治体支援の例

  • 直接補助型:食材費の一定割合を直接補助
  • 差額補填型:前年度との差額の一部を補填
  • 設備投資支援型:省エネ調理機器導入への補助

活用のポイント

  1. 自治体の介護保険課や高齢福祉課への定期的な問い合わせ
  2. 他施設との情報共有による支援情報の収集
  3. 業界団体を通じた情報収集

その他の活用可能な制度

補助金以外にも、様々な支援制度を組み合わせることで、総合的なコスト削減が可能です。

1. 共同購入制度

  • 複数の介護施設が共同で食材を購入することで、スケールメリットを活用
  • 地域の介護施設協議会などが主導するケースが増加
  • 単独では難しい大口割引の適用が可能

2. フードバンクとの連携

  • 規格外品や余剰在庫の活用
  • 品質に問題のない食材を低価格または無償で入手
  • 地域貢献にもつながる取り組み

3. 農福連携の活用

  • 地域の農家との直接契約
  • 規格外野菜の活用によるコスト削減
  • 地産地消による配送コスト削減

4. エネルギー削減支援

  • 調理にかかる光熱費も含めたトータルコスト削減
  • 省エネ機器導入への補助金活用
  • 調理方法の見直しによる光熱費削減

よくある質問と対処法

食材費削減を進める中で、多くの施設が直面する課題や疑問について、具体的な対処法を解説します。

Q1. 品質を落とさずに本当にコスト削減できるのか?

A. 適切な方法を選択すれば、品質維持とコスト削減の両立は十分可能です。

品質を維持しながらコスト削減を実現するポイントは以下の通りです。

  1. 仕入れルートの最適化
    中間マージンを削減し、品質は維持したまま価格を下げることが可能です。地域密着型の業者や生産者直送サービスの活用により、鮮度も向上する場合があります。
  2. 無駄の削減
    食材ロスや在庫管理の改善により、品質には全く影響を与えずにコストを削減できます。むしろ、適切な在庫管理により鮮度が向上するケースも多くあります。
  3. 調理方法の工夫
    同じ食材でも調理方法を工夫することで、使用量を抑えながら満足度の高い食事を提供できます。

品質チェックの方法

  • 定期的な検食の実施
  • 利用者アンケートによる満足度調査
  • 残食量のモニタリング
  • 栄養価の定期的な計算・確認

Q2. 業者変更時のリスクはどう管理すべきか?

A. 段階的な移行と複数業者の併用により、リスクを最小限に抑えることができます。

リスク管理の具体的方法

  1. 段階的移行
    • 全食材を一度に変更せず、1品目ずつ切り替え
    • 問題発生時の影響を最小限に抑制
    • スタッフの順応期間を確保

  2. バックアップ体制の確立
    • 主要食材は2社購買体制を検討
    • 緊急時の代替業者リストを作成
    • 近隣施設との相互支援体制構築

  3. 契約条件の明確化
    • 品質基準の契約書への明記
    • 配送遅延時のペナルティ設定
    • 定期的な品質監査の実施条項

  4. 試験期間の設定
    • 3か月程度の試験導入期間を設定
    • 期間中の評価基準を事前に設定
    • 問題があれば即座に従来業者に戻せる体制

Q3. スタッフや利用者からの抵抗への対応方法は?

A. 丁寧な説明と段階的な導入、そして改善効果の見える化が重要です。

スタッフへの対応

  1. 事前説明会の実施
    • なぜ変更が必要なのか、経営状況を含めて説明
    • 品質は維持することを明確に伝える
    • 業務負担が増えないよう配慮することを約束

  2. 意見収集と反映
    • 現場スタッフの意見を積極的に収集
    • 可能な限り要望を反映した改善策を実施
    • 定期的なフィードバック機会の設定

  3. 成功体験の共有
    • 小さな成功でも全体で共有
    • 削減効果を数値で示す
    • 削減分の一部を職場環境改善に還元

利用者への対応

  1. 事前告知と説明
    • 家族会などでの丁寧な説明
    • 品質維持への取り組みを具体的に説明
    • 試食会の実施

  2. 段階的な導入
    • 人気メニューは当面維持
    • 新メニューは少しずつ導入
    • 利用者の反応を見ながら調整

  3. コミュニケーションの強化
    • 食事に関するアンケートを定期実施
    • 個別の要望にも可能な限り対応
    • 栄養士による食事相談の機会を増やす

まとめ:今すぐ始められる食材費削減アクション

介護施設における食材費の削減は、施設運営の持続可能性を確保する上で避けて通れない課題です。本記事で紹介した3つのポイントを実践することで、品質を維持しながら月20万円の削減も十分に可能です。

削減成功のための重要ポイント

1. 仕入れ先の見直しが最大の効果を生む
現在の仕入れ価格が適正かどうかを確認し、複数業者から見積もりを取ることが第一歩です。特に地域密着型の業者は、配送効率や柔軟な対応面でメリットが大きく、コスト削減と品質維持の両立が期待できます。

2. 発注管理と在庫コントロールで無駄を削減
適正在庫の維持と計画的な発注により、食材ロスを大幅に削減できます。定期発注システムの活用により、ボリュームディスカウントも獲得可能です。

3. 品質とコストのバランスを重視
生活の中で楽しみの1つである食事。満足度を下げずに給食を提供したいという思いを大切にしながら、メニュー構成の工夫や季節性を活かした仕入れにより、品質を維持したコスト削減が実現できます。

今すぐ実行できる3つのステップ

ステップ1:現状把握(1週間以内に実施)

  • 直近3か月の卵・米の仕入れ価格と使用量を確認
  • 食材廃棄量の実態を1週間記録
  • 現在の仕入れ先との契約内容を再確認

ステップ2:見積もり取得(2週間以内に実施)

  • 最低3社から見積もりを取得
  • 地域の業者を必ず1社は含める
  • サンプル提供を依頼し、品質を確認

ステップ3:小規模テスト導入(1か月以内に開始)

  • まず卵または米のどちらか1品目から開始
  • 2週間のテスト期間を設定
  • スタッフと利用者の反応を記録

継続的な改善で更なる効果を

食材費削減は一度実施すれば終わりではありません。市場環境の変化に対応しながら、継続的な改善を行うことが重要です。

最初に行うべき対応策としては、各自治体の窓口に相談し、補助金制度の積極的な活用がおすすめです。補助金や支援制度も併用することで、より大きな効果が期待できます。

また、食材費を少しでも減らすため、複数の業者で比較検討を行うと良いでしょう。定期的な見直しにより、常に最適な仕入れ体制を維持することができます。

食材費の高騰は今後も続く可能性がありますが、本記事で紹介した方法を実践することで、利用者の食事の質を守りながら、施設の健全な運営を続けることが可能です。まずは現状把握から始め、段階的に改善を進めていきましょう。

詳しい資料は以下よりご確認いただけます。

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