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情シスの業務時間を70%削減!スマホ管理を効率化する3つの方法
企業の成長に欠かせない情報システム部門(情シス)。しかし、多くの企業で「業務用スマホの管理に追われて本来の業務に集中できない」という悩みを抱えています。端末の設定、セキュリティ対策、トラブル対応など、日々増え続ける管理業務に疲弊していませんか?
実は、適切な方法を導入することで、スマホ管理にかかる業務時間を大幅に削減することが可能です。本記事では、情シスの業務効率を飛躍的に向上させる3つの実践的な方法をご紹介します。
情シスを取り巻く現状と課題
デジタル化が進む現代において、情シス部門の役割はますます重要になっています。しかし、その一方で深刻な課題も浮き彫りになっています。
深刻化するIT人材不足
日本全体でIT人材の不足が叫ばれる中、多くの企業で「ひとり情シス」や「兼任情シス」といった状況が生まれています。総務省の情報通信白書によると、国内企業の約9割がIT人材の不足を感じているという深刻な状況です。
限られた人員で、システムの運用保守、ヘルプデスク対応、新規導入プロジェクトなど、幅広い業務をこなさなければならない情シス担当者。その中でも特に負担となっているのが、業務用スマホの管理業務です。
スマホ管理が情シスを圧迫する理由
業務用スマホの管理が情シス部門の大きな負担となっている理由には、以下のような要因があります。
- 端末数の増加:リモートワークの普及により、管理すべき端末数が急増
- セキュリティリスクの高まり:紛失・盗難、不正アクセスなどのリスクへの対応
- 設定作業の煩雑さ:新入社員や異動に伴う端末の初期設定(キッティング)作業
- 問い合わせ対応の増加:使い方がわからない、トラブルが発生したなどの日常的な対応
- 運用ルールの複雑化:アプリの利用制限、通信費管理など、管理項目の多様化
これらの業務に追われることで、本来注力すべきIT戦略の立案や新システムの導入検討などのコア業務に時間を割けない状況が生まれています。
方法1:MDMツールで端末管理を自動化する
スマホ管理の効率化を実現する最初のステップは、MDM(モバイルデバイス管理)ツールの導入です。MDMとは、企業が利用するスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を一元的に管理・運用するためのシステムです。
MDMツールでできること
MDMツールを導入することで、以下のような作業を自動化・効率化できます。
- 遠隔での端末制御:紛失時の端末ロックやデータ消去を管理画面から即座に実行
- アプリの一括配信:必要な業務アプリを全端末に一斉にインストール
- セキュリティポリシーの適用:パスワード設定ルールやアプリ利用制限を自動で適用
- 利用状況の可視化:端末の利用状況やコンプライアンス違反を自動で検知
- 設定の自動化:Wi-Fi設定やメール設定などを遠隔で一括設定
MDM導入による業務削減効果
MDMツールを活用することで、従来手作業で行っていた多くの管理業務を自動化できます。例えば、100台の端末に新しいセキュリティ設定を適用する場合、手作業では1台あたり15分かかるとすると、合計25時間必要です。しかし、MDMを使えば、わずか数分で全端末への適用が完了します。
また、端末の紛失や盗難が発生した際も、管理画面から即座に対応できるため、情報漏えいリスクを最小限に抑えることができます。夜間や休日の緊急対応も、リモートで迅速に行えるようになります。
MDM選定のポイント
MDMツールを選ぶ際は、以下の点を考慮することが重要です。
- 操作性:ITに詳しくない担当者でも直感的に操作できるか
- 対応OS:iOS、Androidの両方に対応しているか
- サポート体制:導入後のサポートが充実しているか
- 料金体系:端末数に応じた柔軟な料金プランがあるか
- 機能の充実度:自社の管理要件を満たす機能が揃っているか
方法2:キッティング作業をアウトソーシングする
2つ目の効率化方法は、端末の初期設定作業(キッティング)のアウトソーシングです。新入社員の入社や部署異動など、端末の入れ替えが発生するたびに行うキッティング作業は、情シス部門の大きな負担となっています。
キッティング作業の課題
キッティング作業には、以下のような多くの工程が含まれます。
- 端末の開梱と充電
- SIMカードの挿入
- 初期設定(言語、タイムゾーン、Wi-Fi設定など)
- セキュリティ設定(パスコード、暗号化など)
- 業務アプリのインストールと設定
- MDMへの登録
- メールアカウントの設定
- 動作確認
- 管理ラベルの貼付
- 資産管理台帳への登録
これらの作業を1台ずつ手作業で行うと、1台あたり30分から1時間程度かかることも珍しくありません。年間で数十台、数百台の端末を扱う企業では、キッティングだけで膨大な時間を費やすことになります。
アウトソーシングのメリット
キッティング作業をアウトソーシングすることで、以下のようなメリットが得られます。
- 時間の大幅削減:情シス担当者がコア業務に集中できる
- 品質の向上:専門業者による確実な設定で、設定ミスによるトラブルを防止
- 繁忙期の対応:大量導入時も社内リソースを圧迫しない
- 最新ノウハウの活用:セキュリティ設定など、専門的な知識を活用
LCMサービスの活用
単なるキッティング代行だけでなく、端末のライフサイクル全体を管理するLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスの活用も効果的です。LCMサービスでは、端末の調達から運用、廃棄まで一貫してサポートしてくれるため、情シス部門の負担をさらに軽減できます。
LCMサービスを利用することで、運用設計の見直しや、セキュリティポリシーの策定支援なども受けられるため、単なる作業の外注以上の価値を得ることができます。
方法3:社内FAQとマニュアルで自己解決を促進する
3つ目の効率化方法は、社内FAQとマニュアルの整備による、従業員の自己解決力向上です。情シス部門への問い合わせの多くは、実は同じような内容の繰り返しであることが多いのです。
よくある問い合わせパターン
業務用スマホに関する問い合わせで多いのは、以下のような内容です。
- Wi-Fiへの接続方法がわからない
- メールの設定方法を教えてほしい
- アプリのインストール方法がわからない
- パスワードを忘れてしまった
- 容量不足の警告が出ている
- 特定のアプリが動作しない
これらの問い合わせに個別に対応していると、情シス担当者の時間は問い合わせ対応だけで埋まってしまいます。
効果的なFAQ・マニュアルの作成方法
従業員が自己解決できる環境を整えるためには、以下のような工夫が必要です。
- 画面キャプチャの活用:文字だけでなく、実際の画面を使って手順を説明
- 動画マニュアルの作成:複雑な操作は動画で分かりやすく解説
- 検索しやすい構成:カテゴリー分けやタグ付けで、必要な情報にすぐアクセス
- 定期的な更新:OSのアップデートなどに合わせて内容を最新化
- フィードバックの収集:利用者の声を反映して、より使いやすく改善
チャットボットの活用
さらに一歩進んだ取り組みとして、チャットボットの導入も効果的です。よくある質問に対して自動で回答することで、24時間365日の問い合わせ対応が可能になります。
一般的に、チャットボットの導入により、問い合わせ件数を30~50%削減できるといわれています。これにより、情シス担当者は、より複雑で専門的な問題の解決に時間を使えるようになります。
社内リテラシー向上の重要性
FAQ・マニュアルの整備と並行して、定期的な研修やe-ラーニングを実施することも重要です。従業員のITリテラシーが向上すれば、セキュリティインシデントの発生リスクも低減し、結果的に情シス部門の負担軽減につながります。
3つの方法を組み合わせた総合的な効率化戦略
ここまで紹介した3つの方法は、それぞれ単独でも効果がありますが、組み合わせることでより大きな成果を生み出すことができます。
相乗効果を生む組み合わせ
例えば、MDMツールとキッティングのアウトソーシングを組み合わせることで、以下のような流れが実現できます。
- アウトソーシング先がキッティング作業を実施
- MDMに端末を登録し、ポリシーを自動適用
- 利用者に端末を配布後、MDMで継続的に管理
- 問題が発生した場合は、FAQで自己解決を促進
このような仕組みを構築することで、情シス担当者は端末管理の日常業務から解放され、より戦略的な業務に注力できるようになります。
段階的な導入アプローチ
すべてを一度に導入するのが難しい場合は、段階的なアプローチも有効です。
- 第1段階:最も負担の大きい業務(例:キッティング)からアウトソーシング
- 第2段階:MDMツールを導入し、日常的な管理業務を効率化
- 第3段階:FAQ・マニュアルを整備し、問い合わせ件数を削減
このように段階的に進めることで、無理なく業務効率化を実現できます。
効率化を成功させるための重要ポイント
スマホ管理の効率化を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
経営層の理解と協力
効率化施策の多くは初期投資が必要となります。MDMツールの導入費用、アウトソーシングの委託費用など、コストがかかることは事実です。しかし、これらは単なるコストではなく、情シス部門の生産性向上への投資であることを、経営層に理解してもらう必要があります。
具体的な数値で効果を示すことが重要です。例えば、「年間○○時間の業務時間削減により、△△万円相当の人件費削減効果がある」といった形で、投資対効果を明確に提示しましょう。
現状の可視化と優先順位付け
効率化を進める前に、まず現状の業務内容と作業時間を正確に把握することが重要です。
- 各業務にかかっている時間を測定
- 繰り返し発生する作業を特定
- 最も負担の大きい業務を優先的に効率化
このような分析を行うことで、効果的な改善策を立案できます。
継続的な改善の仕組み作り
効率化は一度実施すれば終わりではありません。技術の進化や業務内容の変化に合わせて、継続的に改善していく必要があります。
- 定期的な効果測定の実施
- 新しいツールや手法の情報収集
- 他部署や他社の成功事例の研究
- 従業員からのフィードバック収集
これらの活動を通じて、常により良い方法を模索し続けることが重要です。
まとめ:今すぐ始められる第一歩
情シスの業務時間を70%削減するための3つの方法をご紹介しました。MDMツールの導入、キッティング作業のアウトソーシング、社内FAQ・マニュアルの整備。これらの方法を組み合わせることで、スマホ管理にかかる業務負担を大幅に軽減できます。
まずは、自社の現状を正確に把握し、最も効果の高い施策から着手することをおすすめします。小さな一歩でも、確実に業務効率化への道筋となります。
情シス部門が本来の役割である「企業のIT戦略を推進する」ことに注力できる環境を整えることは、企業全体の競争力向上にもつながります。今こそ、スマホ管理の効率化に取り組む絶好のタイミングです。
詳しい資料は以下よりご確認いただけます。


