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決算前必見!即時償却で節税しながら利益を生む経営者の新常識
「利益が出過ぎて税金対策に困っている」「でも、キャッシュフローは悪化させたくない」——このような経営者の悩みに、いま注目を集めているのが即時償却を活用した新しい節税戦略です。
従来の節税といえば「お金を使って税金を減らす」という考え方が一般的でした。しかし、最近では「節税=支出」はもう古い と言われるようになり、節税しながら資産形成や収益化を同時に実現する方法が登場しています。
そこで本記事では、即時償却の基本的な仕組みから、税額控除との違い、さらには節税しながら収益を生み出す最新の手法まで、決算前の経営者が知っておくべき情報を詳しく解説します。
即時償却とは?基本的な仕組みと通常の減価償却との違い
即時償却について理解を深めるために、まずは通常の減価償却との違いから説明します。設備投資を行った際の会計処理には大きく分けて2つの方法があり、それぞれに特徴があります。
通常の減価償却と即時償却の根本的な違い
設備投資をした時の会計処理は、設備の耐用年数に応じ、期ごとに一定額を利益からマイナスする減価償却が通常です。一方、即時償却では一括して全額を費用処理できます 。
具体例で考えてみましょう。太陽光発電システムの場合は耐用年数は17年と定められていて、設備投資に1,700万円かかったとすると、毎年同じ額を支払う定額法の場合、1年目から17年目まで100万円ずつ費用として計上していくことになります 。
これに対して即時償却では、1年目に1,700万円を一括で経費として計上できる のです。つまり、将来の経費を前倒しで計上することで、その年度の税負担を大幅に軽減できるという仕組みです。
即時償却が「一括償却」とも呼ばれる理由
即時償却とは、太陽光発電システムなどの大型機械に設備投資を行った際にかかった費用を、事業初年度に経費として一括計上できることを言います。そのため、一括償却と呼ばれることもあります 。
この「一括」という表現が示すように、通常は何年もかけて少しずつ計上していく費用を、初年度にまとめて計上できることが最大の特徴です。これにより、利益が多く出た年度の税負担を効果的に軽減することができます。
即時償却のメリット・デメリットを徹底解説
即時償却には大きなメリットがある一方で、注意すべき点もあります。ここでは、経営判断に必要な情報を整理してお伝えします。
即時償却の3つの主要メリット
即時償却を活用することで得られるメリットは主に3つあります。
1. キャッシュフローの改善
即時償却のメリットは、前倒しで経費計上することによりその年度の利益が目減りし、法人税の課税対象所得を少なく抑えられるという点です 。税金の支払いが減ることで、手元に残る現金が増加し、次の投資機会に備えることができます。
2. 資金の有効活用
即時償却によってその年の節税額を増やすことができれば、資金に余裕ができ、さらに次の投資にまわすこともできます 。これにより、事業拡大のスピードを加速させることが可能になります。
3. 事業リスクの軽減
減価償却の期間が短くなると、設備投資額の回収期間が短くなることにつながります。つまり、事業リスクが軽減されます 。将来の不確実性に対して、早期に投資を回収できることは大きな安心材料となります。
即時償却のデメリットと注意点
一方で、即時償却には以下のような注意点もあります。
1. トータルの納税額は変わらない
ただし、翌年度以降は償却費がなくなるため、最終的な納税額は同じです 。即時償却は税金の「先送り」であり、削減ではないことを理解しておく必要があります。
2. 翌年度以降の税負担増加
初年度に全額を償却してしまうため、2年目以降は減価償却費による節税効果がなくなります。そのため、翌年度以降の税負担は相対的に重くなる可能性があります。
これらのメリット・デメリットを総合的に判断し、自社の財務状況や将来計画に照らし合わせて、即時償却を選択するかどうかを決定することが重要です。
即時償却vs税額控除|どちらを選ぶべきか
中小企業が設備投資を行う際、即時償却と税額控除のどちらかを選択できる制度があります。それぞれの特徴を理解し、最適な選択をすることが重要です。
税額控除の仕組みと特徴
税額控除は、税金から一定の割合を直接控除するもので、初年度の法人税の控除が受けられます 。税額控除限度額は、国税庁のホームページで「取得価額の7%相当額(特定中小企業者等(注)においては10%)」とされています 。
例えば、1,700万円の設備投資を行った場合、1,700万円×7%=119万円の法人税が減額されます 。これは確実に税金を減らせるという点で魅力的な選択肢です。
どちらを選ぶべきか?判断基準
「即時償却」と「税額控除」は、いずれもこの制度における税制優遇措置ですが、どちらか一方しか受けられません 。そのため、自社の状況に応じて適切な選択をする必要があります。
即時償却が有利なケース:
- 当期の利益が特に大きく、税負担を早急に軽減したい場合
- キャッシュフローの改善を優先したい場合
- 今後も積極的な設備投資を予定している場合
税額控除が有利なケース:
- 長期的な視点で確実に税金を削減したい場合
- 利益が安定的に推移している場合
- 将来の減価償却費も活用したい場合
一般的には、中小企業の経営のセオリーは「損を先に確定させること」です。将来のことは誰にも分かりません。急に現金が必要になることもあります。不測の事態に備えることが重要です という考え方から、即時償却を選択する企業が多い傾向にあります。
中小企業経営強化税制で即時償却を活用する方法
即時償却を活用するためには、特定の制度を利用する必要があります。その代表的なものが「中小企業経営強化税制」です。
中小企業経営強化税制の概要と対象企業
中小企業投資促進税制は、設備投資にかかったお金を「特別償却」として費用計上することや、一定の税額控除を受けることができる制度です。基本的な「通常措置」の他、要件を満たせば即時償却を適用できる「上乗せ措置」があります 。
対象となる企業の条件は以下のとおりです。
- 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
- 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
- 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
- 協同組合等
また、中小企業投資促進税制が適用されるのは、確定申告で青色申告書を提出する中小企業者や個人事業主です 。
即時償却が可能な「上乗せ措置」の条件
平成26年度の税制改正において、中小企業投資促進税制に「上乗せ措置」が設けられました。上乗せ措置は、中小企業が設備投資をより活発におこなえるよう後押しするためのもので、生産性の向上に役立つとされる一定の設備を導入すると、さらに税負担を軽減することができます 。
通常措置では取得価額の30%とされる特別償却が、上乗せ措置では全額を初年度に経費計上できる即時償却が選択可能です 。これにより、大幅な節税効果を実現できます。
対象となる設備は、生産性の向上に役立つ設備 として、以下の2種類があります。
- 先端設備(A類型) :最新モデルで旧モデルと比べて生産性が向上するもの
- 生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型) :投資利益率が5%以上見込めるもの
節税しながら収益を生む新しい仕組みとは
ここまで見てきた即時償却は、確かに大きな節税効果がありますが、あくまでも「税金の先送り」に過ぎません。しかし最近では、節税効果と収益性を両立させる新しい手法が登場しています。
従来の節税の問題点
従来の節税手法には、以下のような課題がありました。
- 節税のために支出が必要で、キャッシュフローが悪化する
- 税務リスクを伴うグレーな手法も存在する
- 節税はできても、支出した資金が戻ってこない
これらの問題に対して、"合法で節税しながらお金が増える"という新常識 を実現する手法が注目を集めています。
収益還元型の節税スキームの特徴
新しい節税手法の特徴として、以下の点が挙げられます。
1. 税務否認リスクがない
国が認めた即時償却スキームで税務否認実績ゼロ という安全性が確保されています。これにより、税務調査を恐れることなく、堂々と節税を行うことができます。
2. キャッシュフローの改善
節税しながら収益が戻る仕組みでキャッシュフローも改善 できるため、資金繰りに悩む必要がありません。
3. 借入対応も可能
借入対応も可能なため、資金を減らすどころか増やすことすら実現できます 。これにより、自己資金を温存しながら節税効果を享受できます。
決算前の節税対策|タイミングが重要な理由
節税対策において、タイミングは極めて重要な要素です。特に決算期前の対策は、その年度の税負担を大きく左右します。
なぜ決算前の対策が重要なのか
経費対策を迫られる決算前——知っているかどうかで"会社の残るお金"は変わります 。決算前は、その年度の利益額がほぼ確定し、税負担の見通しが立つ時期です。この時期に適切な対策を講じることで、効果的な節税が可能になります。
また、今後設備投資を予定している中小企業は、中小企業経営強化税制や先端設備等導入計画など、即時償却が可能な優遇税制を積極的に活用しましょう という観点からも、決算前の準備が重要です。
決算前に検討すべき3つのポイント
1. 当期の利益予測と税負担の試算
まずは当期の利益がどの程度になるかを正確に把握し、それに伴う税負担を試算することが重要です。利益が予想以上に出ている場合は、早急な対策が必要になります。
2. 設備投資計画の前倒し検討
将来予定していた設備投資を前倒しで実施することで、即時償却による節税効果を享受できます。ただし、事業計画との整合性も考慮する必要があります。
3. 各種制度の申請期限の確認
中小企業経営強化税制などを利用する場合、経営力向上計画の認定を受けることが大前提となります 。申請から認定まで一定の期間が必要なため、早めの準備が求められます。
即時償却を成功させるための実践的アドバイス
即時償却を効果的に活用するためには、制度の理解だけでなく、実践的な準備と計画が必要です。ここでは、成功のためのポイントをご紹介します。
専門家との連携の重要性
即時償却の活用には、税務や会計の専門知識が不可欠です。特に以下の点で専門家のサポートが重要になります。
- 制度の適用要件の確認と申請書類の作成
- 投資利益率の算定(B類型を利用する場合)
- 税務リスクの評価と対策
また、新しい収益還元型の節税スキームを検討する場合は、その仕組みを詳しく理解している専門家に相談することが重要です。
長期的な視点での財務戦略
即時償却は単年度の節税効果は大きいものの、翌年度以降の税負担が増加する可能性があります。そのため、以下の点を考慮した長期的な財務戦略が必要です。
- 翌年度以降の利益予測と税負担の試算
- 継続的な設備投資計画の策定
- キャッシュフロー管理の強化
特に、支出のタイミングで即時償却によって損金その年の節税額を増やすことができれば、資金に余裕ができ、さらに次の投資にまわすこともできます という好循環を作り出すことが重要です。
よくある質問と回答
即時償却に関して、経営者の方からよくいただく質問にお答えします。
Q1. 即時償却と通常の減価償却で、最終的な税負担は変わりますか?
A: 翌年度以降は償却費がなくなるため、最終的な納税額は同じです 。即時償却は税金の支払いタイミングを変更するものであり、トータルの税負担を減らすものではありません。ただし、早期に節税効果を得ることで、その資金を有効活用できるメリットがあります。
Q2. どのような企業が即時償却を活用すべきですか?
A: 特に以下のような企業におすすめです。
- 当期の利益が予想以上に大きく、税負担に悩んでいる企業
- キャッシュフローを重視する成長期の企業
- 今後も継続的な設備投資を計画している企業
一方で、利益が安定的で長期的な視点を重視する企業は、税額控除を選択することも検討すべきでしょう。
Q3. 収益還元型の節税スキームは本当に安全ですか?
A: 国が認めた即時償却スキームで税務否認実績ゼロ という実績があるものを選ぶことが重要です。ただし、具体的な内容については、個別に専門家に確認することをおすすめします。
まとめ|即時償却で実現する賢い節税戦略
本記事では、即時償却の基本的な仕組みから、税額控除との比較、さらには節税しながら収益を生む新しい手法まで詳しく解説してきました。
重要なポイントをまとめると:
- 即時償却は設備投資費用を初年度に一括計上できる制度
- キャッシュフローの改善と事業リスクの軽減が主なメリット
- 税額控除との選択は、企業の状況に応じて判断が必要
- 中小企業経営強化税制を活用することで100%即時償却が可能
- 最新の手法では、節税効果と収益性の両立が実現可能
特に決算期を控えた経営者の方は、経営者のための「守りながら攻める節税戦略」 として、即時償却の活用を検討する価値があります。従来の「節税=支出」という考え方から脱却し、より戦略的な財務マネジメントを実現することが可能です。
ただし、即時償却は専門的な知識が必要な分野です。自社にとって最適な選択をするためには、税理士などの専門家と相談しながら進めることをおすすめします。
詳しい資料は以下よりご確認いただけます。