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M&A売却

会社売却の企業価値算定方法を徹底解説

📅 2026年09月19日⏱ 約9分✍ 編集部

「自分の会社はいくらで売れるのだろう?」会社売却を検討し始めたとき、多くの経営者が最初にぶつかる壁が企業価値の算定方法です。算定方法を知らないまま交渉に臨むと、本来より大幅に低い価格で売却してしまうリスクがあります。本記事では、主要な算定手法の特徴・相場・実際の計算手順を具体的な数値とともに徹底解説します。自社の適正価値を把握し、後悔のない会社売却を実現しましょう。

会社売却に向けて企業価値の資料を確認する経営者

企業価値とは何か?会社売却における基本の考え方

企業価値・株式価値・事業価値の違い

会社売却を進める上で、まず押さえておきたいのが「企業価値」「株式価値」「事業価値」という3つの概念の違いです。これらを混同すると、交渉の場で思わぬ誤解が生じます。

企業価値(EV:Enterprise Value)とは、事業が生み出す経済的価値の総量を指し、有利子負債も含めた会社全体の価値です。株式価値(Equity Value)は企業価値から有利子負債を差し引いた、株主に帰属する価値です。そして事業価値は、その会社の営業活動から生まれるキャッシュフローに着目した価値を意味します。

M&A・会社売却の文脈では、買い手が最終的に支払う金額(株式譲渡対価)は「株式価値」に相当します。しかし算定の出発点は企業価値であることがほとんどです。以下の式が基本となります。

企業価値・株式価値・事業価値の関係
概念 計算式 具体例(億円)
企業価値(EV) 事業価値 + 非事業用資産 10億円
有利子負債 借入金・社債等 3億円
株式価値(Equity Value) 企業価値 - 有利子負債 7億円

会社売却で企業価値算定が重要な理由

企業価値の算定は、単なる「値付け」以上の意味を持ちます。適切な企業価値を把握することで、以下のメリットが得られます。

算定のタイミングと依頼先

企業価値の算定は、売却を検討し始めた段階(事前算定)と、買い手候補が絞られた段階(交渉用算定)の2段階で行うのが一般的です。依頼先としては、M&A仲介会社・FA(ファイナンシャルアドバイザー)・公認会計士・税理士などが挙げられます。費用は簡易算定で無料〜数十万円、詳細な第三者評価で50万〜300万円程度が相場です。

✅ メリット:事前に企業価値を把握しておくことで、売却のベストタイミング(業績が良い時期)を狙い、適正価格以上で売却できるケースが多くなります。特にM&A仲介会社の無料簡易査定を活用すれば、コストゼロでおおよその相場を確認できます。

⚠️ 注意:算定方法によって導き出される価値は大きく異なります。例えば不動産が多い会社はコストアプローチで高く出る一方、成長率の高いIT企業はDCF法で高くなる傾向があります。1つの手法だけで判断せず、複数の手法を組み合わせることが重要です。

企業価値の主な算定方法3種類を徹底比較

3つのアプローチの全体像

企業価値の算定方法は、大きくインカムアプローチ・マーケットアプローチ・コストアプローチの3つに分類されます。それぞれ異なる視点から企業の価値を測定するため、どのアプローチを採用するかによって算定結果は数倍の差が生じることもあります。

3つのアプローチの比較一覧
アプローチ 主な手法 算定の基準 向いている企業 主な利用シーン
インカムアプローチ DCF法・収益還元法 将来キャッシュフロー 成長期のIT・SaaS企業 大型M&A・上場企業
マーケットアプローチ 類似会社比較法(マルチプル法)・類似取引比較法 市場・取引実績 同業他社が多い製造業・小売業 中堅M&A・事業売却
コストアプローチ 簿価純資産法・時価純資産法 保有資産の価値 不動産・投資資産保有企業 中小企業M&A・廃業時

算定方法の選び方:実務での使い分け

実際のM&A交渉では、1つの手法だけでなく複数の手法を組み合わせて「レンジ(幅)」として提示するのが一般的です。例えば「DCF法では8億円、マルチプル法では10億円、純資産法では5億円」となれば、交渉の起点を「8〜10億円」と設定するといった具合です。

中小企業のM&A(売上10億円未満)では、実務上「時価純資産+営業権(のれん)」という簡易的なコストアプローチが最も多く使われます。一方、成長率が高く将来性が訴求できる企業はDCF法や類似会社比較法で高い評価を得やすいです。

算定に使う財務指標の基礎知識

どのアプローチでも共通して登場する重要な財務指標を確認しておきましょう。

企業価値算定で使う主要財務指標
指標 意味 計算式
EBITDA 利払い・税金・減価償却前利益 営業利益 + 減価償却費
EBIT 利払い・税金前利益(≒営業利益) 売上高 - 売上原価 - 販管費
FCF(フリーキャッシュフロー) 事業活動で自由に使える現金 営業CF - 投資CF
純資産(簿価) 資産から負債を引いた帳簿上の価値 総資産 - 総負債

✅ メリット:複数のアプローチを組み合わせることで、買い手・売り手の双方が納得できる「合理的な価格帯」を設定できます。特に売り手側はインカムアプローチを活用することで、将来の成長期待を価格に反映させやすくなります。

⚠️ 注意:算定に使う財務数値は直近3期分が基本です。一時的な特別利益・特別損失が含まれる場合は「正常収益力」に修正(ノーマライゼーション)する必要があります。修正を怠ると企業価値が実態とかけ離れた数値になります。

複数の算定手法を用いて企業価値を分析するアナリスト

インカムアプローチ(DCF法・収益還元法)の計算手順

DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)とは

DCF法(Discounted Cash Flow法)は、企業が将来にわたって生み出すと予測されるフリーキャッシュフロー(FCF)を、現在価値に割り引いて合計することで企業価値を算定する方法です。「将来稼ぐお金を今の価値に換算する」というシンプルな考え方ですが、計算には専門知識が必要です。

DCF法の計算ステップは以下の通りです。

  1. 事業計画の策定:通常5〜10年間の将来FCFを予測する
  2. 割引率(WACC)の算定:株主資本コストと負債コストを加重平均する
  3. ターミナルバリュー(TV)の算定:予測期間以降の永続価値を計算する
  4. 現在価値への割引:各年のFCFとTVを割引率で割り引いて合計する
  5. 株式価値の算出:企業価値から有利子負債を控除する

DCF法の具体的な計算例

以下の条件でDCF法による企業価値を計算してみましょう。

DCF法による企業価値計算例(単位:万円)
年度 FCF予測(万円) 割引係数(10%) 現在価値(万円)
1年目 1,000 0.909 909
2年目 1,200 0.826 991
3年目 1,400 0.751 1,051
4年目 1,500 0.683 1,025
5年目 1,600 0.621 994
ターミナルバリュー 20,000(永続価値) 0.621 12,420
合計(企業価値) — — 17,390

上記の例では企業価値が約1億7,390万円となり、有利子負債3,000万円を引いた株式価値は約1億4,390万円となります。ターミナルバリューは「5年目FCF÷(割引率-永続成長率)=1,600÷(10%-2%)=2億円」として計算しています。

収益還元法(簡易DCF法)の使い方

収益還元法は、DCF法を簡略化した手法で、中小企業のM&Aでよく使われます。「年間の正常収益(税引後利益)÷ 還元率」で企業価値を算出します。

例えば、年間税引後利益が2,000万円、還元率を10%とすると:
企業価値 = 2,000万円 ÷ 10% = 2億円

還元率(キャップレート)は業種・企業規模・リスクによって異なり、中小企業では一般的に10〜25%が使われます。還元率が低いほど企業価値は高く評価されます。

✅ メリット:DCF法は将来の成長性を企業価値に反映できる点が最大の強みです。特にサブスクリプション型のビジネスモデルや、リカーリング収益(継続収益)が安定しているSaaS・フランチャイズ企業などは、この手法で高い評価を得やすくなります。

⚠️ 注意:DCF法は事業計画の前提条件(売上成長率・利益率・割引率)によって算定値が大きく変わります。楽観的すぎる計画は買い手から信頼されず、交渉が難航する原因になります。過去実績に裏付けられた保守的な計画を作成することが重要です。

マーケットアプローチ(類似会社比較法)の計算手順

類似会社比較法(マルチプル法)とは

類似会社比較法(EV/EBITDAマルチプル法)は、上場している同業他社の株価・財務指標を参考に、自社の企業価値を算定する方法です。「市場が同業他社をどう評価しているかを自社に当てはめる」という発想です。実務では最も客観性が高いとされ、大型M&Aでも頻繁に使われます。

最もよく使われる指標はEV/EBITDAマルチプルです。

企業価値(EV)= EBITDA × EV/EBITDAマルチプル

業種別のEV/EBITDAマルチプルの相場

マルチプルは業種によって大きく異なります。以下は日本のM&A市場における一般的な目安値です(2023〜2024年時点)。

業種別EV/EBITDAマルチプルの相場(目安)
業種 EV/EBITDAマルチプル(倍) 特徴・補足
ITサービス・SaaS 15〜30倍 成長率・解約率が評価に大きく影響
医療・介護サービス 10〜20倍 許認可・立地条件が重要
製造業(一般) 6〜10倍 設備・特許の有無で変動
小売・飲食業 4〜8倍 ブランド力・立地が価値を左右
建設・土木 4〜7倍 受注残・技術者の在籍が評価ポイント
物流・運輸 5〜9倍 車両・倉庫等の資産も考慮

類似会社比較法の具体的な計算例

例えば、製造業の会社でEBITDAが3,000万円の場合、業界マルチプルの中央値を8倍とすると:

企業価値 = 3,000万円 × 8倍 = 2億4,000万円

有利子負債が4,000万円であれば、株式価値は2億円となります。

類似取引比較法との違い

マーケットアプローチには、上場株価を参考にする「類似会社比較法」のほかに、過去の実際のM&A取引事例を参考にする「類似取引比較法」もあります。未上場中小企業の売却では、類似取引比較法の方が実態に近い価値を示すことがあります。ただし取引情報は非公開のものが多く、データ入手が困難な点がデメリットです。

✅ メリット:マーケットアプローチは客観的な市場データに基づくため、買い手・売り手の双方が納得しやすい手法です。特に「同業他社がこの倍率で売れている」という具体的な事例を交渉に持ち込むことで、価格の妥当性を強く主張できます。

⚠️ 注意:類似会社比較法は上場企業のデータを使うため、非上場の中小企業には「非流動性ディスカウント(20〜30%程度)」を適用するのが実務上の慣行です。このディスカウントを知らずに交渉すると、買い手から大幅な値引きを求められることがあります。

企業価値の算定結果をもとにM&A交渉で合意する経営者たち

コストアプローチ(純資産法)の計算手順

時価純資産法(修正純資産法)とは

コストアプローチは、企業が保有する資産と負債を積み上げて企業価値を算定する方法です。中でも時価純資産法(修正純資産法)は中小企業のM&Aで最も広く使われる手法です。帳簿上の純資産(簿価純資産)を時価ベースに修正して算出します。

計算式は以下の通りです:

時価純資産 = 時価総資産 - 時価総負債

時価純資産法の具体的な計算例

以下の貸借対照表を持つ製造業A社の時価純資産を計算します。

時価純資産法の計算例(A社)(単位:万円)
項目 簿価(万円) 時価(万円) 修正理由
現預金 2,000 2,000 変動なし
売掛金 3,000 2,800 貸倒引当金の追加計上
棚卸資産 1,500 1,200 陳腐化在庫の評価減
土地・建物 4,000 6,500 含み益(鑑定評価)
設備機械 2,000 1,500 経年劣化による評価減
時価総資産 12,500 14,000 —
借入金・負債 5,000 5,000 変動なし
退職給付債務(追加計上) 0 800 未計上分を負債計上
時価純資産 7,500 8,200 —

A社の時価純資産は8,200万円となりました。このケースでは土地・建物の含み益が大きく、簿価純資産より700万円高い評価になっています。

のれん(営業権)の加算方法

中小企業M&Aでは「時価純資産+のれん(営業権)」で株式価値を算定するのが実務上の標準です。のれんとは、会社の収益力・ブランド・顧客基盤・人材など、純資産では捉えられない超過収益力の部分です。

のれんの計算方法には主に2つのアプローチがあります。

例えばA社の正常税引後利益が年間1,000万円の場合、のれんを3年分とすると:
株式価値 = 8,200万円(時価純資産)+ 3,000万円(のれん3年分)= 1億1,200万円

✅ メリット:コストアプローチは計算がシンプルで、売り手・買い手ともに理解しやすい手法です。財務諸表を基準にするため透明性が高く、特に保有不動産の含み益が大きい会社では、このアプローチによって簿価より大幅に高い評価を引き出せる可能性があります。

⚠️ 注意:コストアプローチは「過去の資産蓄積」を基準にするため、将来の成長期待が反映されにくいデメリットがあります。高成長中のスタートアップや、無形資産(特許・ブランド・顧客データ)に価値がある会社では、コストアプローチだけで算定すると実態より低く評価されることがあります。

会社売却の実際の相場と企業価値を高める方法

会社売却の価格相場(規模別・業種別)

会社売却の実際の価格相場は、企業の規模・業種・収益性によって大きく異なります。以下は日本国内のM&A市場における参考データです(中小企業M&Aを中心に)。

会社売却価格の相場(売上規模別)
売上高 売却価格の目安 主な算定手法 取引件数(傾向)
1億円未満 500万〜5,000万円 時価純資産+のれん 最も多い(後継者問題案件)
1億〜5億円 3,000万〜3億円 時価純資産+のれん・マルチプル法 増加傾向
5億〜30億円 2億〜20億円 DCF法・マルチプル法 大手仲介・FAが介入
30億円以上 10億〜100億円超 DCF法・類似取引比較法 PE・戦略的M&A

企業価値を高めるための具体的な施策

売却を検討し始めた段階から2〜3年計画で企業価値向上に取り組むことで、売却価格を大幅に引き上げることが可能です。以下の施策が特に効果的です。

① 収益力の向上(最も重要)
EBITDAやFCFを高めることが直接的に企業価値に直結します。不採算事業の撤退・コスト削減・値上げ交渉などで利益率を改善しましょう。EBITDAが1,000万円増えると、マルチプル法では8〜15倍の8,000万〜1億5,000万円の企業価値上昇につながります。

② 財務の透明化(BS・PLの整理)
個人的な経費の混入(役員報酬過大・個人的な交際費)を正規化し、「正常収益力」を明確にします。税務申告書・決算書の3期分を整備しておくことが必須です。

③ 顧客基盤の安定化
特定の顧客への売上集中(1社への依存度が50%超など)はリスクと見なされ、企業価値にマイナス影響を与えます。顧客の分散化・長期契約の締結が有効です。

④ 組織・人材の強化
「オーナー依存型」の会社は売却後の事業継続リスクが高いと判断されます。幹部社員に権限移譲し、オーナー不在でも機能する組織体制を整えることで評価が上がります。

⑤ 知的財産・無形資産の整備
特許・商標・顧客データ・ノウハウを資産として明文化することで、コストアプローチでも無形資産の価値を主張しやすくなります。

売却時に気をつけたい税金の影響

会社売却の手法によって課税関係が異なります。株式譲渡の場合、売却益には20.315%の申告分離課税(所得税・住民税・復興特別所得税)が適用されます。一方、事業譲渡の場合は法人税・消費税・不動産取得税など複数の税金が発生し、実質手取り額が減少することがあります。売却前に税理士に相談し、最も手取りが多くなる手法を選択することが重要です。

✅ メリット:企業価値向上施策を2〜3年前から計画的に実行した場合、売却価格が当初想定の1.5〜2倍になる事例も珍しくありません。特に「オーナー依存の脱却」と「財務の透明化」は、買い手の安心感を高め、交渉をスムーズにする上で最も費用対効果が高い施策です。

⚠️ 注意:売却直前に利益を操作して企業価値を高めようとする行為(例:本来は費用計上すべきものを資産計上するなど)は、デューデリジェンスで発覚した場合に売却価格の大幅修正や契約破棄につながるリスクがあります。財務の透明性を保つことが最重要です。

企業価値向上の取り組みを実施し会社売却に備える中小企業経営者

よくある質問(FAQ)

Q. 会社売却の企業価値算定にかかる費用の相場はいくらですか?
A. 算定の目的・依頼先によって大きく異なります。M&A仲介会社の簡易算定(概算価値の試算)は多くの場合無料です。公認会計士や専門のバリュエーション会社への正式な算定依頼(第三者意見書の発行を含む)の場合、企業規模にもよりますが50万〜300万円程度が一般的な相場です。上場企業のM&Aでは500万〜1,000万円以上になることもあります。まずはM&A仲介会社の無料査定を活用して概算を把握し、その後本格的な算定が必要かを判断するのが費用対効果の良いアプローチです。
Q. 赤字の会社でも企業価値はつきますか?売却できますか?
A. 赤字であっても企業価値がつき、売却できるケースは多くあります。たとえば、①優良な顧客リストや取引先を保有している、②希少な許認可(建設業許可・薬局開設許可など)を保有している、③技術者・専門人材が在籍している、④土地・不動産などの含み益が大きい、⑤ブランドや特許を持っている、といった場合です。赤字企業の場合、DCF法やマルチプル法では低い評価になりやすいですが、コストアプローチ(時価純資産法)や、保有する無形資産の価値を中心に評価されることがあります。赤字であっても「なぜ買い手にとって価値があるか」を明確に訴求することが重要です。
Q. 会社売却の企業価値算定では、どの算定方法が一番よく使われますか?
A. 企業規模や業種によって異なりますが、中小企業のM&A(売上10億円未満)では「時価純資産+のれん(年買法)」が最も広く使われています。計算がシンプルで、売り手・買い手の双方が理解しやすいためです。一方、売上30億円超の中堅企業や高成長のIT・SaaS企業では、DCF法や類似会社比較法(EV/EBITDAマルチプル法)が採用されることが多くなります。実務では複数の手法を組み合わせて価格レンジを設定し、交渉の出発点とするアプローチが一般的です。
Q. 企業価値の算定結果と実際の売却価格は一致しますか?
A. 必ずしも一致するとは限りません。算定結果はあくまで「理論価値」であり、実際の売却価格は買い手の戦略的意図・競合する買い手の数・売り手の交渉力・市場環境などによって上下します。例えば、複数の買い手が競合するオークション形式(入札)の場合、算定価値を20〜50%上回る価格で成約することもあります。逆に買い手が1社しかいない場合は、交渉力が弱まり算定価値を下回る価格になることもあります。そのため、できるだけ多くの買い手候補にアプローチし、競争環境を作ることが高値売却のカギです。
Q. 自分で企業価値を計算することはできますか?専門家に依頼する必要がありますか?
A. 簡易的な算定であれば自分で計算することは可能です。特に「時価純資産+のれん(年買法)」は、決算書があれば概算値を試算できます。ただし、正式な交渉・売却手続きに使用する企業価値算定(バリュエーション)は、公認会計士・M&A専門家に依頼することを強く推奨します。理由は、①財務数値のノーマライゼーション(正常収益力への修正)が必要、②割引率(WACC)の設定に専門知識が必要、③第三者性がないと買い手に信頼されない、の3点です。M&A仲介会社の無料簡易算定でおおよその相場を把握した上で、本格的な売却を進める段階で専門家に依頼するのがベストな進め方です。
Q. 会社売却のベストタイミングはいつですか?企業価値との関係は?
A. 一般的に「業績が良い時期・成長トレンドにある時期」が企業価値が最も高くなりやすく、売却のベストタイミングです。特に直近2〜3期の利益が継続的に増加している場合、買い手はその成長トレンドを将来にも延長して評価する傾向があります。逆に業績が落ち込んでいる時期に売却すると、算定基準となる利益数値が低くなり、企業価値も低下します。また、経営者の健康状態・後継者問題・業界の再編トレンドなども重要なタイミング要素です。「売りたいと思ったとき」ではなく、「売るべきタイミングを戦略的に計画する」ことが重要です。理想的には売却希望の3〜5年前から準備を始めることをお勧めします。

まとめ:会社売却の企業価値算定で後悔しないために

会社売却における企業価値の算定方法は、大きくインカムアプローチ(DCF法・収益還元法)・マーケットアプローチ(類似会社比較法)・コストアプローチ(時価純資産法)の3つに分類されます。それぞれの特徴を理解し、自社の業種・規模・収益性に合った手法を選択することが重要です。

特に中小企業のM&Aでは「時価純資産+のれん(年買法)」が最も多く使われますが、成長性が高い場合はDCF法やマルチプル法を組み合わせることで、より高い評価を引き出すことができます。

会社売却で後悔しないための最重要ポイントをまとめます。

会社売却は経営者にとって一生に一度の大きな決断です。本記事で解説した企業価値の算定方法を理解した上で、信頼できる専門家と連携しながら、適正価格での売却を実現してください。

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