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法人保険

経営者必見!法人保険を見直して保険料を最適化する方法

📅 2026年07月10日⏱ 約9分✍ 編集部

「毎月高い保険料を払い続けているのに、本当にこの保険が自社に合っているのか自信が持てない」「節税目的で加入した保険が2019年の税制改正で使えなくなった」「役員が高齢になってきたのに、万が一の備えが十分かどうか不安だ」——法人保険の見直しを考えている経営者の方なら、こうした悩みを一度は抱えたことがあるのではないでしょうか。法人保険は加入して終わりではなく、会社のステージや税制の変化に合わせて定期的に見直すことが、キャッシュフローの最適化と経営リスクへの備えを両立させる唯一の方法です。この記事では、法人保険の見直しを検討している経営者に向けて、具体的なチェックポイント・相場・手順・実例を余すことなく解説します。

法人保険の見直しを行う経営者のイメージ

法人保険を見直すべきタイミングと3つのシグナル

法人保険の見直しは「なんとなく気になったから」ではなく、明確なトリガーがあるときに行うのが最も効果的です。経営環境の変化・税制の変化・会社のライフサイクルの変化——この3つの軸からシグナルを読み取ることで、最適なタイミングを逃さずに動くことができます。

シグナル①:会社の売上・利益規模が大きく変化した

法人保険の保険金額や保険料は、加入時の会社規模・利益水準をもとに設計されます。しかし、売上が当初の2倍・3倍に拡大した、あるいは逆に業績が悪化してキャッシュフローが厳しくなった場合、現在の保険設計が実態とかけ離れてしまいます。一般的に、売上や経常利益が前回加入・見直し時から30%以上変化した場合は、見直しの好機です。保険料負担が重すぎても軽すぎても、経営にとってマイナスになります。

シグナル②:役員・キーパーソンの年齢や役職が変わった

経営者保険の主目的の一つは「キーパーソンリスク」への対応です。代表取締役や技術責任者など、会社にとって不可欠な人物が病気・死亡した場合の事業継続リスクをカバーするために設計されます。役員が50代から60代に差し掛かった、後継者として新たな役員が就任した、あるいは創業時にカバーしていた役員が退任したといった変化があれば、被保険者の変更や保険金額の見直しが必要です。役員の平均年齢が5歳以上上がったタイミングは、特に重要な見直し時期と考えてください。

シグナル③:加入から5年以上が経過し、保険の内容を把握していない

中小企業経営者の多くは、保険の担当者に勧められるまま加入し、その後保険証券を金庫にしまったまま内容を把握していないケースが少なくありません。加入から5年が経過したら、少なくとも一度は契約内容の棚卸しを行うことが推奨されます。保険料が毎月どれだけ損金算入できているか、解約返戻率のピークはいつか、受取人・受益者の設定は現在の状況に合っているかを確認してください。

✅ メリット:定期的な見直しで得られる3つの経営上のメリット

⚠️ 注意:見直しのタイミングを誤ると解約返戻率が大幅に下がる

法人保険の多くは、解約返戻率が一定のピーク(多くは加入後10〜20年)に達した後に急落する設計になっています。「なんとなく解約したい」という判断で動くと、解約返戻率がピークの70〜80%しかない時期に解約してしまい、本来受け取れるはずだった金額より大幅に損をするケースがあります。解約前には必ず解約返戻率の推移を確認してください。

法人保険見直しのトリガー別・推奨アクション一覧
トリガー 目安となる変化 推奨アクション 優先度
売上・利益の変化 前回比±30%以上 保険金額・保険料の再設計
役員の年齢・役職変化 平均年齢+5歳・役職変更 被保険者・受取人の変更
加入後の年数経過 5年以上経過 契約内容棚卸し・損金算入率確認
税制・会計ルールの改正 2019年改正等の適用 損金算入スキームの見直し
事業承継・M&A計画 後継者決定・M&A検討開始 退職金原資・相続対策の再設計 最高

2019年税制改正後の法人保険の正しい理解と節税効果の実態

2019年6月、国税庁は法人が契約する定期保険・第三分野保険の保険料に関する税務取扱いを大幅に変更しました。これにより、以前は「全額損金算入」として広く普及していた保険スキームの多くが制限されることになりました。経営者が法人保険を正しく活用するためには、まずこの改正の内容を正確に理解することが不可欠です。

2019年改正の骨子:損金算入率は最高解約返戻率で決まる

改正後の法人保険の税務取扱いは、保険期間中の最高解約返戻率によって4つの区分に分類されます。最高解約返戻率が50%以下の場合は従来通り全額損金算入が可能ですが、50%超70%以下では40%のみ損金算入、70%超85%以下では60%のみ損金算入、85%超の場合は当初10年間は保険期間の前半40%にあたる期間の損金算入額が更に制限されます。

改正前に加入した保険はどう扱うか

2019年7月8日以前に締結された契約については原則として旧ルールが適用されます(経過措置)。ただし、保険金額の増額や契約変更を行った場合は、その部分については新ルールが適用されることがあるため注意が必要です。保険会社・担当者によって説明が異なるケースもあるため、顧問税理士への確認が必須です。

節税効果の「実態」を正確に把握する

法人保険は「節税商品」として売られることが多いですが、正確には「課税の繰り延べ」です。損金算入した保険料は、解約・満期・死亡保険金受取時に益金(雑収入)として計上されます。したがって、節税効果を最大化するためには、解約返戻金を受け取るタイミングで役員退職金などの大きな損金と相殺する出口設計が不可欠です。出口設計なしに解約すると、一時的に大きな益金が発生し、法人税負担が急増します。

✅ メリット:改正後でも法人保険が有効な3つの活用場面

⚠️ 注意:「全額損金で節税できる」という勧誘トークには要注意

2019年改正以降も、一部の保険代理店や担当者が「全額損金算入できる節税保険」と称して勧誘するケースが報告されています。最高解約返戻率50%以下の商品は確かに全額損金算入可能ですが、返戻率が低い分、資産形成効果はほぼありません。「節税」と「資産形成」を両立できるかのような説明には慎重に対応し、必ず税理士・ファイナンシャルプランナーに相談してから判断してください。

2019年改正後:最高解約返戻率別の損金算入ルール比較
最高解約返戻率 損金算入割合 資産計上割合 主な対象商品例
50%以下 全額損金 0% 掛け捨て定期保険
50%超〜70%以下 40%損金 60% 一部の定期保険
70%超〜85%以下 60%損金 40% 長期定期・逓増定期
85%超 前半40%期間:損金額がさらに制限 高額資産計上 高返戻率型逓増定期等

税理士と経営者が法人保険の税務処理について打ち合わせするシーン

法人保険の種類別・見直しポイント完全ガイド

法人保険には複数の種類があり、それぞれ目的・仕組み・見直しポイントが異なります。自社が加入している保険の種類を正確に把握したうえで、最適な見直しアクションを取ることが重要です。

定期保険(逓増定期保険を含む)の見直しポイント

定期保険は一定期間内に被保険者が死亡・高度障害状態になった場合に保険金が支払われる純粋な死亡保障型保険です。掛け捨て型のため保険料は割安ですが、逓増定期保険は保険期間中に死亡保険金が逓増する設計で、解約返戻率が高い時期に解約することで資産性を持たせる商品です。見直しのポイントは以下の通りです。

終身保険・養老保険の見直しポイント

終身保険は一生涯の死亡保障を持ちながら、解約返戻金が蓄積される商品です。法人契約の養老保険は「ハーフタックスプラン」として従業員の福利厚生にも活用できます。見直しポイントとしては、保険料払込期間と会社のキャッシュフロー計画が一致しているか、退職金原資として必要な積立額が確保できているか、受取人設定が現在の役員構成と合っているかを確認してください。

医療保険・就業不能保険の見直しポイント

経営者が病気・ケガで長期離脱した場合の事業継続リスクをカバーする保険です。特に就業不能保険(所得補償保険)は、経営者が働けない期間の役員報酬相当額をカバーする重要な保険ですが、設計が不十分なケースが多く見られます。見直しポイントは、免責期間(支払いが始まるまでの待機期間)が60日・90日・180日のどれに設定されているか、月額支給上限額が現在の役員報酬に対応しているか、保険期間が65歳・70歳まで十分にカバーしているかです。

損害保険(企業向け)の見直しポイント

生命保険だけでなく、火災保険・賠償責任保険・役員賠償責任保険(D&O保険)・サイバーリスク保険なども定期的な見直しが必要です。特にここ数年でサイバー攻撃・情報漏洩リスクが高まっており、IT環境を保有する企業であればサイバーリスク保険への新規加入または補償額の増額を検討すべきです。

✅ メリット:複数保険の一括見直しで得られる重複解消効果

多くの企業では、複数の担当者・複数の保険会社から個別に加入した結果、同じリスクをカバーする保険が重複していることがあります。一括で棚卸しすることで、年間保険料を20〜30%削減できた事例も珍しくありません。

⚠️ 注意:医療保険の「法人契約」は受取人設定に要注意

法人が医療保険を契約する場合、保険金の受取人が法人になっているケースがあります。この場合、入院・手術の際に経営者個人が受け取れず、法人経由での支給となります。経営者個人の療養費補填を意図している場合は、受取人設定を確認・変更してください。

法人保険の見直し手順:5ステップで進める具体的フロー

法人保険の見直しを「なんとなく保険会社の担当者に相談する」だけで終わらせてはいけません。経営者自身が主体的にプロセスをコントロールするための5ステップを解説します。

STEP1:現契約の棚卸し(保険証券の一覧化)

まず、会社が加入しているすべての保険を一覧化します。保険証券、口座引落しの明細、顧問税理士の勘定科目内訳書などを参照し、以下の情報を整理してください。

STEP2:自社の経営リスクを再整理する

現在の会社の状況から、本当にカバーすべきリスクを洗い出します。主な経営リスクは以下の通りです。

STEP3:税理士・FPと連携してギャップ分析を行う

STEP1で把握した「現状の保障内容」とSTEP2で整理した「必要な保障」を比較し、ギャップを明確にします。この段階では、保険会社や代理店ではなく、中立な立場の税理士・独立系FP(ファイナンシャルプランナー)に相談することを強くお勧めします。保険会社系のFPは特定の商品を勧める利益相反があるためです。

STEP4:複数社から見積もりを取得して比較する

ギャップ分析の結果をもとに、必要な保障内容を明確にしたうえで、複数の保険会社・代理店から見積もりを取得します。比較ポイントは保険料だけでなく、解約返戻率の推移・特約の内容・保険会社の財務健全性(ソルベンシーマージン比率)も確認してください。ソルベンシーマージン比率は200%以上が安全の目安とされており、主要生保各社は概ね500%〜1,000%以上を維持しています。

STEP5:解約・切り替え・新規加入の判断と実行

見直し後のアクションは「継続・一部変更・解約・乗り換え・新規加入」の5択です。既存保険の解約は解約返戻率のピークを意識したタイミングで行い、新規加入する保険の保障開始日との間に空白期間が生じないよう注意してください。また、解約返戻金が発生する場合は益金計上のタイミングと退職金等の損金のタイミングを合わせる出口戦略を税理士と事前に設計することが不可欠です。

✅ メリット:独立系FP・保険ブローカーの活用で中立な提案が得られる

保険ブローカー(保険仲立人)は複数の保険会社の商品を横断的に比較・提案できる資格者です。特定の保険会社に属していないため、中立な立場から最適な商品を提案してもらえます。法人保険の見直しでは、保険ブローカーや独立系FPの活用が非常に有効です。

⚠️ 注意:既存契約の解約前に新規保険の審査通過を確認すること

健康状態によっては、新規保険の加入審査が通らないケースがあります。既存保険を先に解約してしまうと、保障の空白期間が生じるリスクがあります。必ず「新規保険の保障開始→既存保険の解約」の順序で手続きを進めてください。

保険ブローカーが経営者に複数の法人保険プランを提案しているシーン

法人保険の保険料相場と見直し後のコスト比較

法人保険の見直しを具体的に進めるうえで、保険料の相場感を持つことは非常に重要です。「自社の保険料が高いのか安いのか」を判断するための基準を提示します。なお、保険料は被保険者の年齢・健康状態・保険金額・保険期間・商品設計によって大きく異なります。以下はあくまで目安です。

役員向け定期保険の保険料相場(被保険者:男性)

代表取締役(男性)を被保険者とした場合の定期保険料の目安は下表の通りです。保険金額1億円を基準にしています。

定期保険(保険金額1億円・男性)の月額保険料相場
加入時年齢 保険期間10年 保険期間20年 65歳満了
40歳 約12,000〜18,000円 約22,000〜32,000円 約28,000〜40,000円
50歳 約28,000〜40,000円 約55,000〜80,000円 約65,000〜95,000円
55歳 約42,000〜60,000円 約85,000〜125,000円 約105,000〜155,000円
60歳 約65,000〜95,000円 加入困難なケースも 約150,000〜220,000円

法人向け医療保険・就業不能保険の相場

経営者向け医療保険・就業不能保険の保険料は、入院日額・月額支給額・免責期間によって異なります。

経営者向け医療保険・就業不能保険の月額保険料目安(男性50歳)
保険種類 保障内容 月額保険料目安 損金算入
法人医療保険 入院日額10,000円・手術給付 約8,000〜15,000円 1/2損金が多い
就業不能保険 月額支給50万円・免責90日 約25,000〜45,000円 全額損金が多い
がん保険(法人) 診断給付金500万円 約12,000〜22,000円 商品により異なる
介護保障保険 要介護2以上・一時金500万円 約20,000〜35,000円 商品により異なる

見直し前後のコスト比較実例

年商3億円・従業員20名・代表取締役55歳の中小企業A社の見直し事例をもとに、見直し前後の保険料とカバレッジを比較します。

A社(年商3億円・代表55歳)の法人保険見直し前後比較
項目 見直し前 見直し後 変化
死亡保障合計額 1億5,000万円 2億円 +5,000万円↑
就業不能保障 なし 月額60万円 新規追加↑
月額合計保険料 28万円 22万円 ▲6万円削減↓
年間損金算入額 168万円 198万円 +30万円↑
退職金原資(65歳時点) 約3,200万円 約4,800万円 +1,600万円↑

✅ メリット:保険料削減と保障強化の両立は見直しで十分可能

上記A社の事例のように、現在加入している保険が過剰・非効率な場合、適切な見直しによって「保険料を月6万円削減しながら保障を強化する」という一石二鳥の結果が得られます。年間72万円の削減は、10年間で720万円のキャッシュフロー改善に相当します。

⚠️ 注意:保険料の安さだけで比較するのは危険

見直し後の保険料が安くなっても、保障内容が薄くなっていては本末転倒です。特に、保険金額の引き下げ・特約の削除・免責期間の延長によって表面上の保険料を下げる設計は要注意です。保険料と保障内容を必ずセットで比較・評価してください。

経営者が陥りやすい法人保険の見直し失敗例と対策

法人保険の見直しには多くの落とし穴があります。先人の失敗事例から学ぶことで、同じ轍を踏まずに済みます。ここでは実際によくある失敗パターンと、その具体的な対策を紹介します。

失敗例①:出口戦略なしで解約し、多額の法人税が発生した

最も多い失敗の一つが、解約返戻金の益金計上に対する準備不足です。例えば、解約返戻率80%の時点で保険料累計払込額が5,000万円の契約を解約すると、解約返戻金4,000万円が一括で益金算入されます。このタイミングで退職金等の大きな損金がなければ、実効税率30〜35%として約1,200〜1,400万円の法人税が発生します。解約の前年度には必ず税理士と「出口設計」を確認してください。

失敗例②:担当者が変わるたびに新しい保険に乗り換え、保険料が雪だるま式に増加した

保険の担当者・代理店が変わるたびに「今の保険より良い商品がある」と勧められ、既存契約を整理せずに新しい契約を重ねるケースです。気づけば月額50万円以上の保険料を払っているにもかかわらず、保障内容が重複し、会社の財務を圧迫している事例が後を絶ちません。法人保険は「加えるより整理する」発想が重要です。

失敗例③:被保険者が高齢になり、新規加入・乗り換えができなくなった

多くの法人保険には加入年齢の上限があり、70歳・75歳を超えると新規加入が困難になります。また、健康状態が悪化した場合も審査で引受不可になることがあります。「いつでも見直せる」と考えて先送りにしていると、いざ見直そうとしたときに選択肢がなくなっている状況に陥ります。見直しは元気で比較的若いうち(60歳前後まで)に行うことが鉄則です。

失敗例④:事業承継計画と法人保険の設計がバラバラで機能しなかった

後継者への事業承継を想定した場合、保険の受取人・被保険者の設定が現経営者中心になっているため、後継者が代表に就任した後に保険が有効に機能しないことがあります。例えば、現代表が退任して後継者が代表になった後に現代表が亡くなっても、法人への保険金支払いが会社にとって意味をなさないケースがあります。事業承継計画と法人保険設計は一体で考える必要があります。

✅ メリット:失敗を防ぐには「3者連携」が最も有効

法人保険の見直しを成功させるには、①顧問税理士(税務・出口設計)②独立系FP・保険ブローカー(中立な商品比較)③事業承継コンサルタント(承継計画との整合)の3者が連携して対応することが最も効果的です。1者だけに任せず、複数の専門家の意見を取り入れることが重要です。

⚠️ 注意:「無料相談」には利益相反リスクがある場合も

保険会社や代理店が提供する「無料の法人保険見直し相談」は、実質的に自社商品への乗り換えを目的としたセールスの場である場合があります。相談先が本当に中立かどうかを確認し、報酬体系(コミッション型か手数料型か)を事前に聞いてから相談することを推奨します。

複数の保険証券に囲まれて困惑している経営者のイメージ

よくある質問(FAQ)

法人保険の見直しを検討している経営者からよく寄せられる質問をまとめました。具体的な疑問の解消にお役立てください。

Q. 法人保険の見直しはどのくらいの頻度で行うべきですか?
A. 最低でも3〜5年に一度の定期見直しを推奨します。ただし、役員の年齢変化・売上規模の大幅変動・税制改正・事業承継計画の具体化など、経営上の大きな変化があった際はその都度見直しを行うべきです。特に2019年の税制改正後に一度も見直していない場合は、早急に内容を確認してください。現在加入している保険の損金算入処理が正しいかどうかだけでも、顧問税理士に確認することから始めましょう。
Q. 法人保険を解約すると税金がかかるのですか?解約返戻金はすべて益金になりますか?
A. 解約返戻金は原則として法人の益金(雑収入)として計上されます。ただし、益金算入額は「解約返戻金の全額」ではなく、「解約返戻金 ー 資産計上されている保険料積立金」の差額が益金になります。全額損金算入していた保険の場合は資産計上額がゼロのため、解約返戻金がそのまま全額益金となり、法人税の課税対象になります。この課税負担を最小化するためには、解約と同年度に役員退職金・修繕費・設備投資などの大きな損金を計上する「出口設計」が重要です。必ず解約前に税理士と相談してください。
Q. 法人保険の保険料を全額損金にする方法は今もありますか?
A. 2019年の税制改正後も、最高解約返戻率が50%以下の定期保険は全額損金算入が可能です。ただし、解約返戻率が低いということは保険期間中に積み立てられる資産価値がほぼないことを意味します。純粋にリスクヘッジ(掛け捨て保障)を目的とする場合は有効ですが、退職金原資の積立や資産形成を期待する場合には不向きです。「全額損金で節税できる保険」という説明を受けた場合は、解約返戻率・保険の実質コスト・出口設計も含めて総合的に判断することが重要です。
Q. 経営者が病気になっても保険に入れますか?健康状態の告知はどこまで必要ですか?
A. 法人保険への新規加入・乗り換えには、被保険者(経営者)の健康状態の告知が必要です。告知内容は保険会社・商品によって異なりますが、一般的に過去5年以内の手術・入院・医師からの投薬・治療・検査結果の異常などが対象となります。持病や既往症がある場合は引受拒否・条件付き引受(特定部位不担保・保険料割増)になる可能性があります。なお、告知義務違反(意図的な虚偽告知)は後日保険金の不支払い・契約取消の原因になりますので、必ず正直に告知してください。健康状態が悪化する前に早めに見直しを行うことが最善策です。
Q. 事業承継を考えているのですが、法人保険はどのように活用できますか?
A. 事業承継における法人保険の主な活用方法は4つあります。①現経営者の退職金原資として解約返戻金を活用する、②後継者が株式を取得するための資金(自社株式の買取資金)として死亡保険金を活用する、③相続時に発生する相続税の納税資金として死亡保険金を活用する、④現経営者死亡後の事業継続資金(運転資金・借入金返済)として死亡保険金を活用する——です。ただし、これらの活用を実現するには保険の受取人・保険金額・保険期間の設計が事業承継計画と一致していることが前提です。承継計画が固まってきた段階で、保険設計の見直しを行うことを強くお勧めします。また、株式の相続対策・生前贈与と組み合わせることで、より総合的な承継対策が可能になります。
Q. 法人保険の見直しを相談できる専門家はどこで探せばよいですか?
A. 法人保険の見直しは、①顧問税理士への相談(税務処理・出口設計)②独立系FP・保険ブローカーへの相談(中立な商品比較・設計)③商工会議所・中小企業支援センターの専門家派遣制度の活用——の3つのルートが有効です。保険ブローカー(保険仲立人)は内閣総理大臣の登録を受けた資格者で、複数の保険会社の商品を比較提案できる点が強みです。一方、特定の保険会社に所属する代理店やファイナンシャルコンサルタントは中立性に限界があることを理解したうえで相談してください。費用については、独立系FPは相談料が発生する場合がありますが、中立な提案を受けられるメリットがあります。

まとめ:法人保険の見直しは「今すぐ」始めるべき理由

法人保険の見直しは、経営者にとって最も費用対効果の高い経営改善アクションの一つです。本記事でお伝えしてきたポイントを振り返りましょう。

法人保険は経営者の「もしも」に備える重要なセーフティネットであると同時に、会社のキャッシュフローと財務戦略に直結する経営インフラです。

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