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人事制度整備

中小企業が使える人事制度の助成金と申請手順を解説

📅 2026年06月19日⏱ 約9分✍ 編集部

「人事制度を整えたいけど、費用が心配…」「助成金を使えると聞いたけど、何から始めればいいかわからない」——そう感じている中小企業の経営者・人事担当者の方は少なくありません。実は、人事制度の整備には国や都道府県が用意した助成金を活用でき、最大で数百万円の支援を受けることができます。本記事では、使える助成金の種類・金額・申請手順を具体的にわかりやすく解説します。

目次

  1. 人事制度と助成金の基本知識|中小企業が知るべき全体像
  2. 中小企業が活用できる主な助成金の種類と支給額
  3. 人事評価制度等整備計画の作り方と申請の流れ
  4. 助成金申請でよくある失敗とその回避策
  5. 助成金を最大活用するための人事制度設計のポイント
  6. 専門家(社会保険労務士・コンサルタント)の選び方と費用相場
  7. よくある質問(FAQ)

中小企業の経営者と人事担当者が書類を確認している様子

人事制度と助成金の基本知識|中小企業が知るべき全体像

人事制度とは、採用・評価・賃金・教育・昇進など「人に関わるルールの総体」です。大企業では当たり前のように整備されていますが、中小企業では「社長の感覚で決めている」「規程はあるが形骸化している」というケースが大半を占めます。しかし近年、採用難・離職率上昇・働き方改革への対応といった課題が重なり、中小企業でも人事制度の整備が急務になっています。

そこで活用したいのが「助成金」です。助成金は融資と異なり返済不要であり、要件を満たせば受給できます。厚生労働省・経済産業省・都道府県の産業労働局など複数の機関が、中小企業の人材確保・処遇改善・生産性向上を目的として助成金を用意しています。

助成金と補助金の違い

「助成金」と「補助金」はよく混同されますが、明確な違いがあります。助成金は要件を満たせば原則として受給でき、公募競争がありません。一方、補助金は申請件数や予算の上限があり、採択審査があります。人事制度に関連するものは助成金が中心ですが、IT導入補助金のように人事管理システム導入に使える補助金も存在します。

助成金と補助金の主な違い
項目 助成金 補助金
審査方式 要件充足で原則受給 競争審査あり(採択率がある)
予算枠 年度予算内で随時受付 公募ごとに予算上限あり
返済義務 なし なし
主な窓口 ハローワーク・労働局 中小企業庁・経済産業局
人事制度への活用 メイン(評価制度・賃金改定等) サブ(システム導入・コンサル費等)

中小企業の定義と助成金の適用範囲

助成金における「中小企業」の定義は業種によって異なります。製造業は資本金3億円以下または常時使用従業員数300人以下、小売業は資本金5,000万円以下または50人以下が一般的な目安です。ほとんどの助成金は中小企業を対象としており、大企業に比べて助成率や助成額が優遇されています。

人事制度整備が急務な背景

厚生労働省の調査(2023年)によると、中小企業の離職率は平均15.4%と大企業の10.2%を大きく上回っています。また、採用コストは1人あたり平均103万円(リクルートワークス研究所調べ)にのぼります。人事制度を整えることで離職率を下げ、採用ブランドを高めることが、中長期的なコスト削減につながります。

✅ メリット:人事制度整備+助成金の相乗効果

人事制度を整備すると、従業員のエンゲージメント向上・離職率低下・採用力強化といった効果が期待できます。さらに助成金を活用することで、整備コストの一部を国が負担してくれるため、費用対効果が大幅に高まります。返済不要の資金を受け取りながら組織基盤を強化できる、中小企業にとって最大のチャンスです。

⚠️ 注意点:「助成金ありき」の制度設計は危険

助成金の受給だけを目的として人事制度を形式的に作成した場合、実態が伴わないとして不支給・返還命令の対象になるリスクがあります。また、制度が従業員に浸透しなければ、むしろ不満が高まる原因になります。助成金はあくまで「整備を後押しするもの」と位置づけ、実態に合った制度を設計することが前提です。

中小企業が活用できる主な助成金の種類と支給額

人事制度の整備に活用できる助成金は複数あります。代表的なものを整理すると、①業務改善助成金、②人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)、③キャリアアップ助成金、④働き方改革推進支援助成金の4つが特に重要です。それぞれの概要・対象・金額を詳しく見ていきましょう。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)

人事制度整備に最も直結する助成金です。「生産性向上のための人事評価制度の整備」と「それに基づく賃金アップ」を要件としており、中小企業の人材定着・確保を支援します。2024年度時点での支給額は、生産性要件を満たした場合に最大80万円(整備助成50万円+目標達成助成30万円)となっています。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)概要
項目 内容 金額・条件
整備助成 人事評価制度・賃金制度の整備・実施 50万円
目標達成助成 2%以上の賃金アップ・離職率低下 80万円(生産性要件充足時)
対象企業 雇用保険適用事業主(中小企業優遇) 業種別中小企業定義に従う
支給要件 評価制度整備→賃金引上げ→離職率改善 1年後の実績確認あり
申請窓口 都道府県労働局 計画認定→実施→申請の流れ

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)

非正規労働者の処遇改善を目的としており、賃金規定を改定して時給を3%以上引き上げた場合に支給されます。2024年度は中小企業の場合、対象労働者1人あたり5万円(最大で100万円を超えるケースも)となっています。パート・アルバイト・契約社員が多い中小企業に特に有効です。

業務改善助成金

生産性向上のための設備投資と最低賃金の引き上げをセットで行う場合に支給されます。賃金引き上げコース(30円・45円・60円・90円)ごとに助成上限額が異なり、最大で600万円(90円コース、10人以上引き上げの場合)の助成を受けられます。人事制度の一環として賃金テーブルを整備する際に組み合わせて活用できます。

働き方改革推進支援助成金

労働時間の短縮・時間外労働の上限規制対応を支援する助成金です。就業規則の整備・労務管理ツールの導入などが対象になります。上限額は取り組み内容によって異なりますが、中小企業向けは最大250万円程度です。人事制度改革と合わせて就業規則を見直す際に活用できます。

主要な助成金の比較一覧
助成金名 最大支給額 主な要件 人事制度との関連
人材確保等支援(人事評価改善) 80万円 評価制度整備・賃金2%以上引上げ ◎ 直結
キャリアアップ(賃金規定等改定) 1人5万円〜 非正規の賃金3%以上引上げ ○ 賃金制度整備
業務改善助成金 600万円 設備投資+最低賃金引上げ △ 賃金テーブル整備時
働き方改革推進支援 250万円 労働時間短縮・就業規則整備 ○ 就業規則・勤怠管理
人材開発支援助成金 経費の最大75% 研修・OJT・資格取得支援 ○ 人材育成制度整備

中小企業の従業員が研修に参加している様子

✅ メリット:複数の助成金を組み合わせる「多重受給」戦略

人事制度整備においては、1つの助成金だけでなく複数を組み合わせることで、受給総額を大幅に増やせます。たとえば「人材確保等支援助成金で評価制度を整備しながら、キャリアアップ助成金で非正規処遇を改善し、人材開発支援助成金で研修制度を確立する」という組み合わせでは、合計200万円以上の助成を受けた事例もあります。

⚠️ 注意点:助成金は「事後払い」が原則

ほぼすべての助成金は、取り組みを実施してから申請する「後払い方式」です。つまり、制度整備や賃金引き上げのコストは企業が一時的に負担しなければなりません。資金繰りへの影響を考慮したうえで計画を立て、必要に応じて金融機関のつなぎ融資も検討しましょう。

人事評価制度等整備計画の作り方と申請の流れ

助成金を受給するためには、所定の手続きを正確に踏む必要があります。「申請書を出せばすぐもらえる」と思っている方が多いですが、実際には計画書の認定→制度整備の実施→申請という段階があります。ここでは人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を例に、具体的な流れを解説します。

STEP1:人事評価制度等整備計画の作成・提出

まず「人事評価制度等整備計画書」を作成し、都道府県労働局に提出します。計画書には「どのような評価制度を整備するか」「賃金をどの程度引き上げるか」「目標とする離職率はいくらか」を明記します。計画書の認定を受けてから制度整備を開始する必要があるため、実施前に必ず認定を取得することが条件です。提出から認定まで通常2〜4週間かかります。

STEP2:人事評価制度・賃金制度の整備と実施

認定を受けた計画に基づき、実際に人事評価制度と賃金制度を整備します。評価制度は、評価基準・評価シート・評価プロセス(一次評価・二次評価・フィードバック面談)を文書化し、全従業員に周知することが求められます。賃金制度は、基本給テーブル・評価連動型の昇給ルールなどを就業規則・賃金規程に明記します。制度の「形式的な整備」だけでなく、実際に評価を行い結果を賃金に反映させることが必要です。

STEP3:整備助成の申請(計画認定から6ヶ月以内)

制度整備・実施後、整備助成(50万円)の申請を行います。申請に必要な書類は下記の通りです。

STEP4:目標達成助成の申請(制度実施から1年後)

制度実施から1年後に、①離職率が目標値以下であること、②対象期間の生産性が一定以上向上していること(生産性要件)を確認したうえで、目標達成助成(最大30万円)を申請します。生産性要件(3年前比6%以上向上)を満たすと、助成額が増額されます。

申請ステップと所要期間の目安
ステップ 内容 所要期間の目安
計画書作成 評価・賃金制度の方針策定、書類作成 1〜2ヶ月
計画認定 労働局への提出・審査 2〜4週間
制度整備・実施 評価制度・賃金規程の策定・周知・実施 3〜6ヶ月
整備助成申請 書類収集・申請書提出 1〜2ヶ月(実施後)
目標達成助成申請 1年後の実績確認・申請 制度実施から約1年後

✅ メリット:社会保険労務士に依頼すると申請成功率が大幅アップ

助成金申請書類は専門的な知識を要するため、社会保険労務士(社労士)に依頼することで申請漏れや書類不備を防げます。社労士の報酬は助成金受給額の10〜20%が相場ですが、採択確率を高める効果を考えると費用対効果は十分高いといえます。初期費用を抑えたい場合は、商工会議所や中小企業支援センターの無料相談を活用するのも有効です。

⚠️ 注意点:計画認定前に制度整備を始めると助成対象外になる

人材確保等支援助成金では、計画書の認定を受ける前に制度整備を始めてしまうと、その取り組みが助成対象から外れます。「もう制度は作ってしまった。あとから申請できる?」というご相談は非常に多いですが、残念ながらこのケースでは受給できません。必ず「計画認定→制度整備」の順序を守ってください。

人事コンサルタントが中小企業チームに申請の流れを説明している様子

助成金申請でよくある失敗とその回避策

せっかく助成金を申請しても、書類の不備や要件の誤解により不支給になるケースは少なくありません。ここでは実際の失敗事例と具体的な回避策を解説します。

失敗①:就業規則の整備が不十分

助成金の多くは、就業規則に制度内容を明記することを要件とします。「口頭で周知していた」「規程を作ったが労働基準監督署に届け出ていなかった」といったケースで不支給になる事例が多発しています。10人未満の事業所でも、助成金申請においては就業規則の整備・届出が必要です。

失敗②:賃金台帳・出勤簿の記録不備

賃金引き上げの実績を証明するため、賃金台帳と出勤簿を正確に保管することが必須です。「手書きで管理していて記録が不明確」「電子データだが保存期間が不足していた」といったケースで証明ができず不支給になることがあります。助成金申請を予定している場合は、少なくとも3年分の賃金台帳・出勤簿を適切に保存してください。

失敗③:離職率目標の設定ミス

目標達成助成では「計画時の離職率を下回ること」が要件です。計画書作成時に現状の離職率を正確に把握せず、達成不可能な目標値を設定してしまうと、1年後に目標を達成できず受給できなくなります。直近1〜2年の離職率を慎重に確認したうえで、達成可能かつ意味のある目標を設定しましょう。

失敗④:申請期限の見落とし

助成金には申請期限があり、実施後○ヶ月以内といった厳格な締め切りが設定されています。「制度は整備したけど申請を後回しにしていたら期限が過ぎていた」という失敗は非常に多いです。スケジュール管理を徹底し、計画認定時点から逆算してカレンダーに申請期限を明記しておきましょう。

✅ メリット:チェックリストを使えば失敗を大幅に減らせる

厚生労働省や各都道府県労働局は、助成金申請用のチェックリストや申請ガイドを公開しています。申請前にこれらを活用し、必要書類が揃っているか・要件を満たしているかを確認することで、書類不備による不支給リスクを大幅に低減できます。

⚠️ 注意点:不正受給には厳しいペナルティがある

助成金の不正受給(実態のない書類の提出・虚偽申告など)が発覚した場合、支給額の全額返還に加え、最大3倍の追徴金が科されることがあります。さらに、5年間にわたって新規の助成金申請が禁止されます。「バレないだろう」という認識は危険であり、労働局は定期的に立ち入り調査を行っています。

助成金を最大活用するための人事制度設計のポイント

助成金の受給額を最大化しながら、従業員にとっても実効性のある人事制度を設計するためのポイントを解説します。「助成金要件を満たすだけの最低限の制度」ではなく、「従業員が納得でき、会社の成長につながる制度」を設計することが長期的に有益です。

評価制度設計の3つのポイント

①評価基準の明確化:「何を・どのように評価するか」を文書化し、評価者と被評価者の双方が理解できる基準を設けます。評価項目は「業績評価(目標達成度)」と「行動評価(コンピテンシー)」に分けると整理しやすいです。

②フィードバック面談の義務化:評価結果を本人にフィードバックする面談を年2回以上実施することを規程に明記します。フィードバックがない評価制度は従業員の不満につながります。

③評価者訓練の実施:評価者(管理職)向けの研修を実施し、評価の公平性を担保します。評価者訓練の実施記録は、助成金申請時の証明書類にもなります。

賃金制度設計の実例と数値目標

人材確保等支援助成金では、評価制度に連動した賃金引き上げとして「2%以上の賃金アップ」が要件です。具体的には、基本給テーブルを設定し、評価結果(S・A・B・C・Dなど5段階)に応じた昇給額を規程に定めます。

評価ランク別昇給額の設定例(月額基本給に対する割合)
評価ランク 評価内容 昇給率の目安 月額昇給額例(基本給25万円の場合)
S(卓越) 目標を大幅に超過達成 4〜5% 10,000〜12,500円
A(優秀) 目標を超過達成 3〜4% 7,500〜10,000円
B(達成) 目標を概ね達成 2〜3% 5,000〜7,500円
C(改善要) 目標に一部未達 0〜1% 0〜2,500円
D(要改善) 目標に大幅未達 0%(据え置き) 0円

制度の従業員への浸透方法

制度を作って終わりにせず、全従業員への説明会(全体説明会+個別面談)を実施し、制度の目的・評価基準・賃金への反映方法を丁寧に説明することが重要です。説明会の実施記録(参加者名簿・議事録)を保管しておくと、助成金申請時の「制度周知の証明」にも活用できます。

✅ メリット:人材開発支援助成金と組み合わせて研修費用も補助

評価制度整備と同時期に研修体系を構築すると、人材開発支援助成金(Off-JTコース)の対象にもなります。外部研修費用の最大75%(中小企業の場合)が助成されるため、評価者訓練・管理職研修・スキルアップ研修の費用負担を大幅に軽減できます。

⚠️ 注意点:評価制度と賃金制度は「連動」が必須

「評価制度と賃金制度を別々に整備した」「評価は行っているが結果が賃金に反映されていない」というケースでは、助成金の要件を満たしません。必ず評価結果が賃金(基本給・賞与)に連動するルールを規程に明記し、実際に運用することが求められます。

専門家(社会保険労務士・コンサルタント)の選び方と費用相場

人事制度の整備と助成金申請は、専門的な知識が必要であるため、多くの中小企業が外部専門家に依頼します。適切な専門家を選ぶことが、助成金受給の成否に大きく影響します。

社会保険労務士(社労士)の役割と選び方

社労士は、労働・社会保険に関する唯一の国家資格者であり、助成金申請の代行ができる専門家です。人事制度整備においては、就業規則・賃金規程の作成、助成金申請書類の作成・提出代行を依頼できます。選び方のポイントは次の3点です。

人事コンサルタントとの違いと使い分け

人事コンサルタントは、評価制度・等級制度・賃金制度の設計を専門とします。社労士は法的な書類整備・申請代行が強みであるのに対し、コンサルタントは制度設計そのものの質を高めることが強みです。理想的には「コンサルタントが制度設計、社労士が申請代行」という役割分担が効果的です。

専門家の種類と費用相場(中小企業の場合)
専門家の種類 主な役割 費用相場
社会保険労務士 就業規則作成・助成金申請代行 着手金5〜15万円+成功報酬(受給額の10〜20%)
人事コンサルタント 人事評価・等級・賃金制度の設計 月額15〜50万円(プロジェクト型は100〜300万円)
中小企業診断士 経営全体の改善・補助金申請支援 月額10〜30万円(補助金報酬は10〜20%)
商工会議所・支援センター 初期相談・専門家派遣あっせん 無料〜低額(専門家派遣は数千円/回)

費用を抑えながら専門家を活用する方法

専門家費用が負担に感じる場合は、以下の公的支援を活用しましょう。①商工会議所・商工会の専門家派遣事業(1回あたり5,000〜15,000円で社労士・診断士に相談できる)、②中小企業基盤整備機構の「よろず支援拠点」(無料で経営全般の相談に対応)、③都道府県の産業振興財団による助成金相談窓口(無料)。これらを組み合わせることで、初期コストを大幅に抑えられます。

✅ メリット:専門家費用は「人材開発支援助成金」の対象になる場合も

外部コンサルタントや社労士を活用した場合の研修・指導費用は、人材開発支援助成金の「特定訓練コース」または「一般訓練コース」として、経費の一部が助成対象になるケースがあります。事前に確認しておくことで、専門家費用の自己負担をさらに圧縮できます。

⚠️ 注意点:助成金の「丸投げ」は危険

「すべて任せれば大丈夫」と考えて専門家に丸投げすると、制度の内容を自社で把握できなくなり、助成金受給後も制度が機能しない状態になりがちです。専門家と協働しながら、経営者・人事担当者が制度の中身を理解・主導することが不可欠です。また、「成功報酬を受け取れば後は放置」という悪質な業者も存在するため、契約後のサポート範囲を事前に明確にしておきましょう。

社会保険労務士と中小企業経営者が握手している様子

よくある質問(FAQ)

人事制度の助成金に関して、中小企業の経営者・人事担当者からよく寄せられる質問をまとめました。

Q. 人事評価制度がまったくない状態から始めても助成金を受けられますか?
A. はい、受けられます。むしろ「これから新たに整備する」という場合が助成金の典型的な対象です。人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)は、人事評価制度と賃金制度を「新たに整備する」ことが要件であり、すでに立派な制度を持っている企業は対象外になる場合もあります。まったくゼロの状態からのスタートが最も助成を受けやすい状況といえます。ただし、計画書の認定を受ける前に制度整備を始めてしまうと対象外になるため、必ず事前に計画書を提出・認定してから着手してください。
Q. 従業員が数人の小規模事業者でも助成金を申請できますか?
A. 申請できます。多くの助成金は従業員数の下限を定めておらず、1人でも雇用保険の被保険者がいれば申請資格があります。ただし、業務改善助成金のように「引き上げる対象労働者の人数」が助成額に影響する助成金では、従業員が少ないと受給額も限定的になります。一方、人材確保等支援助成金は規模にかかわらず固定額の助成が基本であるため、小規模事業者でも十分なメリットがあります。
Q. 助成金の申請から実際の入金まで、どれくらいの期間がかかりますか?
A. 申請書類が受理されてから入金まで、通常2〜6ヶ月かかります。審査の混雑状況や書類の不備によってはさらに長くなることもあります。人材確保等支援助成金の場合、整備助成の入金は申請から約3〜4ヶ月後、目標達成助成はその約1年後になります。合計で制度整備を開始してから入金まで1年半〜2年かかるケースもあるため、資金繰り計画を慎重に立てることが重要です。
Q. 助成金を受け取った後に会社の業績が悪化して賃金を下げた場合、返還しなければなりませんか?
A. 助成金受給後の賃金変更については、各助成金の「支給要件維持期間」の定めに従います。人材確保等支援助成金では、助成金受給後も一定期間は賃金引き上げ後の水準を維持することが求められており、期間中に賃金を引き下げた場合は返還の対象になる可能性があります。業績悪化時の対応については、事前に社労士に相談し、就業規則上の賃金減額規定の整備も合わせて検討しておくことをおすすめします。
Q. 助成金申請を代行してくれる業者が「着手金なし・成功報酬のみ」を謳っているが、信頼できますか?
A. 慎重に判断する必要があります。着手金なし・成功報酬のみの報酬体系自体は珍しくありませんが、「確実に受給できる」「うちに任せれば必ずもらえる」などと断言する業者は要注意です。助成金の申請代行ができるのは社会保険労務士(または特定社会保険労務士)のみであり、社労士資格のない業者が代行を行うと違法になります。依頼先が社労士事務所であること、社労士証の確認ができること、契約書の内容が明確であることを必ず確認してください。
Q. 都道府県独自の助成金や補助金はありますか?人事制度整備に使えるものはどう探せばいいですか?
A. あります。各都道府県・市区町村では、国の助成金に上乗せする形や独自の支援制度を設けているケースが多くあります。たとえば、東京都では「中小企業人材確保・定着支援事業」として賃金制度整備費用の一部補助が実施された実績があります。情報収集の方法としては、①自社が所在する都道府県の産業労働局・産業振興財団のウェブサイトを確認する、②よろず支援拠点や商工会議所に相談する、③Jグランツ(補助金・助成金の検索サイト)で検索するといった方法が有効です。

まとめ:人事制度整備と助成金活用で中小企業の競争力を高めよう

本記事のポイントを振り返ります。

中小企業にとって、人材は最大の経営資源です。採用難・離職・処遇改善への対応を後回しにしていると、気づいたときには人材が流出し、採用コストが膨らむという悪循環に陥ります。助成金を活用しながら人事制度を整備することは、従業員のエンゲージメントを高め、企業の持続的成長を支える最重要な投資です。まずは商工会議所の無料相談や社会保険労務士への問い合わせから、一歩を踏み出してみてください。

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