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事業承継

事業承継のトラブルを防ぐ方法と事前対策の完全ガイド

📅 2026年06月16日⏱ 約9分✍ 編集部

「後継者に会社を渡したいのに、親族間で意見が割れてしまった」「従業員が離れてしまうのではないか」「多額の相続税をどう準備すればいいのか分からない」――事業承継は、経営者が一生に一度向き合う最大の課題であり、準備不足が原因でトラブルに発展するケースが後を絶ちません。本記事では、事業承継で起こりがちなトラブルの全体像を整理し、具体的な数値・手順・実例を交えながら、確実にトラブルを防ぐための方法を徹底解説します。

事業承継の話し合いをする創業者と後継者

事業承継トラブルの実態と主な原因

中小企業庁の調査によれば、日本の中小企業経営者のうち、60歳以上が約半数を占め、2025年までに約245万社の経営者が70歳を超えると試算されています。そのうち約半数は後継者が未定というデータもあり、事業承継問題は日本経済全体の喫緊の課題です。

事業承継がうまくいかないケースの多くは、「トラブルが起きてから動く」という後手の対応が原因です。早期に実態を把握し、トラブルの芽を摘むことが最大の防衛策となります。

事業承継トラブルの発生率と傾向

帝国データバンクの調査(2023年版)では、事業承継を経験した企業の約42%が「承継プロセス中に何らかのトラブルを経験した」と回答しています。特に多いのが「後継者を巡る親族間の対立」「相続税・贈与税の資金不足」「従業員のモチベーション低下」の三大トラブルです。

■ 事業承継トラブルの種類と発生割合(複数回答)
トラブルの種類 発生割合 主な影響
親族間の対立・不満 約48% 承継の遅延・白紙化
税務・資金不足 約35% 会社株式の売却・経営圧迫
従業員の離職・不満 約29% 業績悪化・人材流出
取引先との関係悪化 約18% 売上減少・契約解除
M&A後の経営統合失敗 約22% 組織崩壊・ブランド毀損

トラブルが起きる根本的な原因

トラブルの根本原因は大きく3つに分類できます。①情報共有の不足(誰が後継者か、どんな条件で承継するかが関係者に伝わっていない)、②準備の遅れ(承継に必要な時間は平均5〜10年とされるにもかかわらず、多くの経営者が60代後半になってから動き出す)、③専門知識の欠如(税務・法務の複雑なスキームを理解していないまま進めてしまう)です。

承継タイプ別の主なリスク比較

■ 承継タイプ別のリスク比較
承継タイプ 主なリスク 準備期間の目安 難易度
親族内承継 相続争い・能力不足 5〜10年
役員・従業員承継 株式取得資金不足・反発 3〜7年 中〜高
M&A(第三者承継) PMI失敗・情報漏洩 1〜3年

✅ メリット:早期把握でトラブルを大幅に減らせる

事業承継を10年前から計画した企業は、直前に始めた企業と比較してトラブル発生率が約60%低いという調査結果があります。「いつかやろう」ではなく、今すぐ現状を把握するだけでリスクを大きく下げられます。

⚠️ 注意:後継者が決まっていない状態での急死は最悪のシナリオ

経営者が突然亡くなった場合、株式は相続人全員の共有状態になり、経営権が宙に浮きます。金融機関の口座凍結・取引先への信用不安が重なり、会社存続が危ぶまれるケースも珍しくありません。最低限の遺言書作成と承継計画書の策定を今すぐ始めましょう。

親族間・相続に関するトラブルを防ぐ方法

事業承継トラブルの中で最も多く、かつ最も深刻な傷を残すのが「親族間の対立」です。長年にわたって積み上げてきた信頼関係が一瞬で崩れ、会社だけでなく家族関係も壊れてしまうことがあります。しかし、適切な手順を踏めばこのリスクは大幅に低減できます。

遺言書・家族会議による合意形成

親族間トラブルの最大の原因は「誰が会社を引き継ぐか」についての合意がないことです。創業者が元気なうちに、家族全員を集めた「家族会議」を定期的に開催し、後継者候補・承継の条件・非後継者への財産分配方針を明確に話し合うことが不可欠です。

特に有効なのが「付言事項付き遺言書」です。法的効力を持つ遺言書の中に、後継者を選んだ理由や他の相続人への想い・お願いを記載した付言事項を加えることで、感情面でのトラブルを和らげる効果があります。公正証書遺言の作成費用は財産規模によりますが、おおむね5万〜30万円程度です。

株式の集中管理と種類株式の活用

非上場会社の株式が複数の相続人に分散すると、経営に口出しできる株主が増え、意思決定が停滞します。これを防ぐための主な手段が「株式の集中」と「種類株式の活用」です。

種類株式とは、議決権・配当・相続について特別な権利を付与した株式のことで、「議決権制限株式」を非後継者に持たせることで、相続税対策をしつつ経営権を後継者に集中させることができます。

■ 株式の集中・管理手法の比較
手法 主な効果 コスト目安 向いているケース
公正証書遺言 法的確実性・紛争防止 5万〜30万円 すべてのケース
議決権制限種類株式 経営権集中・配当維持 登記費用+士業報酬10万〜30万円 複数相続人がいる場合
信託(家族信託) 認知症対策・柔軟な設計 30万〜100万円 経営者が高齢・健康不安がある場合
株式買取(後継者へ売却) 所有と経営の一致 株式評価額に依存 親族内承継・MBO

遺留分トラブルへの対処法

後継者に株式を集中させると、他の相続人から「遺留分侵害額請求」を受けるリスクがあります。遺留分とは、法定相続人が最低限受け取れる財産の割合(配偶者・子は法定相続分の1/2)です。このリスクへの対処法は以下の2つです。

①「民法特例(経営承継円滑化法の遺留分特例)」を活用し、後継者に贈与した株式を遺留分の計算から除外する。②生命保険や不動産など株式以外の財産を他の相続人に割り当て、全体の財産バランスを整える。特に生命保険の死亡保険金は「みなし相続財産」として扱われ、相続財産と別枠で受け取れるため非常に有効です。

✅ メリット:民法特例で遺留分リスクをゼロにできる

経営承継円滑化法の遺留分特例(除外合意・固定合意)を利用すれば、後継者に集中させた株式の価値上昇分を遺留分計算から外すことが可能です。経済産業省・中小企業庁の認定を受けた後、家庭裁判所に申し立てることで法的に有効になります。

⚠️ 注意:口頭での約束は法的に無効

「長男に任せると家族で話し合った」という口頭の合意は法的な拘束力を持ちません。後日「そんな話は聞いていない」と言われてしまうトラブルが多数発生しています。必ず公正証書・覚書・議事録などの書面で合意内容を残してください。

弁護士と経営者が事業承継の書類を確認している場面

税務・資金面のトラブルを防ぐ方法

事業承継において「想定外の税金」は経営を根底から揺るがす大問題です。特に非上場株式の評価額が高い企業では、相続税・贈与税が億単位に上ることも珍しくありません。しかし、国が用意している税制優遇を正しく活用すれば、納税額を大幅に圧縮できます。

非上場株式の評価と相続税の試算

非上場株式の価値は「取引相場のない株式」として、国税庁の財産評価基本通達に基づいて評価されます。評価方法には「類似業種比準価額方式」「純資産価額方式」「配当還元方式」の3種類があり、会社の規模や持株割合によって使い分けが定められています。

重要なのは、会社の利益が大きいほど・純資産が多いほど株式評価額が上がり、相続税が増えるという点です。例えば年間利益5,000万円・純資産5億円の中堅企業では、株式評価額が3億〜5億円になるケースもあり、法定相続人が2人だと相続税だけで数千万円に達することがあります。

■ 株式評価方式の比較
評価方式 対象 評価の基準 評価額の傾向
類似業種比準価額方式 大会社・中会社 同業上場企業の株価比較 純資産より低くなりやすい
純資産価額方式 小会社 相続税評価額ベースの純資産 最も高くなりやすい
配当還元方式 少数株主 配当金額÷10% 最も低く評価される

事業承継税制(納税猶予制度)の活用

2018年の税制改正で大幅拡充された「法人版事業承継税制(特例措置)」は、後継者が非上場株式を承継した際の相続税・贈与税を最大100%猶予する画期的な制度です。猶予期間中に一定の要件を満たし続けることで、猶予税額が最終的に免除されます。

特例措置の適用期限は2027年12月31日までの贈与・相続が対象です(特例承継計画の提出期限は2026年3月31日)。この期限を過ぎると従来の一般措置(猶予割合80%)に戻るため、早急に動く必要があります。

生命保険を使った納税資金の確保

相続税の現金一括納付が難しい場合、会社が経営者を被保険者とした生命保険に加入し、保険金を納税資金として活用する手法が有効です。死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるため、節税効果も期待できます。法定相続人が3名の場合、1,500万円まで非課税です。

また、法人契約の逓増定期保険・長期平準定期保険は、保険料の一部が損金算入できるため、法人税の節税にもなります。ただし、2019年の税制改正で節税効果が一部制限されましたので、最新の税務処理を税理士に確認することが必須です。

✅ メリット:特例事業承継税制で相続税・贈与税を最大100%猶予

法人版事業承継税制の特例措置を使えば、非上場株式に係る相続税・贈与税の全額猶予が可能です。従業員数が8割を維持するなどの要件はありますが、使いこなせれば億単位の節税につながります。適用を受けるには「特例承継計画」を都道府県に提出する必要があります。

⚠️ 注意:猶予取り消しのリスクに注意

事業承継税制の猶予は、従業員数の維持(5年間平均80%以上)・後継者が代表者であること・上場していないことなど厳格な要件があります。要件を外れた場合、猶予税額に利子税を加えて一括納付が必要になるため、税理士・公認会計士と連携してモニタリングを続けることが必須です。

従業員・取引先との関係トラブルを防ぐ方法

後継者が就任しても、従業員や取引先が付いてこなければ事業は立ち行きません。「先代社長の時代は良かった」という空気が広がり、優秀な社員が次々と退職するケースは、事業承継後の失敗として最も多いパターンの一つです。

後継者の社内信頼を早期に構築する方法

後継者が就任してから信頼を勝ち取ろうとするのでは遅すぎます。理想は、就任の3〜5年前から後継者を現場に配属し、さまざまな部門で実績を積ませることです。具体的なステップは以下の通りです。

【ステップ1】営業・製造・管理など複数部門をローテーション(入社〜3年)
【ステップ2】部門責任者として成果を出し、社内で認知される(3〜5年)
【ステップ3】副社長・専務として経営会議に参加、意思決定を経験(5〜7年)
【ステップ4】代表取締役就任(7〜10年後)

先代経営者はこの期間、後継者の失敗を「経験値」として許容する姿勢が重要です。先代が口を出しすぎると、従業員が「本当の決定権は先代にある」と感じてしまい、後継者の権威が育ちません。

従業員向けの事業承継説明と処遇の明示

従業員が最も不安に感じることは「自分の雇用・給与・役職が変わるかどうか」です。承継のタイミングで従業員説明会を開催し、以下の点を明確に伝えましょう。

・雇用は維持されること
・給与体系・福利厚生に変更がある場合は内容と時期を具体的に説明
・経営方針の継続性(変える部分・変えない部分)
・後継者の人柄や経営ビジョン

また、キーパーソンとなる幹部社員に対しては個別面談を行い、「あなたに会社を支えてほしい」というメッセージを直接伝えることが効果的です。ストックオプションや役員への登用など、インセンティブを用意することも有効です。

取引先への挨拶と関係の引き継ぎ方

取引先との関係は「人と人のつながり」で成り立っていることが多いため、承継に伴って担当者・トップが変わると関係が薄れるリスクがあります。対策のポイントは以下です。

①引継ぎ訪問は先代と後継者が一緒に行う(お墨付き効果)
②主要取引先には1年以上前から承継計画を伝え、不安を払拭する
③新体制発足後も先代が「相談役・顧問」として一定期間関与し、信頼を橋渡しする

■ 承継後の従業員定着率を左右する要因と対策
不安要因 離職リスク 有効な対策
雇用の不安定感 書面での雇用継続確約・説明会開催
後継者への不信感 段階的な権限委譲・実績の可視化
給与・待遇の変化 中〜高 変更内容の事前説明・経過措置の設定
企業文化の変化 引き継ぐ文化と変える文化の明確化

✅ メリット:早期からの社内育成で承継後の業績が安定

後継者を就任5年以上前から計画的に育成した企業は、承継3年後の売上が承継前比で平均105%以上を維持しているという調査結果があります。社内での信頼が醸成されると、従業員が後継者を自然と支える体制が生まれ、業績への悪影響を最小化できます。

⚠️ 注意:先代の「院政」が後継者の成長を妨げる

後継者に代表権を渡した後も、先代が「相談役」として経営に強く介入するケースは非常に多く、従業員が誰の指示に従えばよいか混乱します。先代は2〜3年を目安に経営から完全に退き、必要に応じて相談に乗る立場に徹することが、後継者の自立と組織の安定につながります。

工場で幹部社員と握手する若い後継者

M&A・第三者承継におけるトラブルを防ぐ方法

親族や従業員に後継者がいない場合、M&Aによる第三者承継が有力な選択肢となります。2023年の中小企業M&A件数は過去最高水準に達しており、中小企業庁も積極的に支援を進めています。しかしM&Aは手続きが複雑で、誤れば会社の価値を大きく毀損するリスクもあります。

M&Aの基本プロセスとトラブルポイント

中小企業のM&Aは一般的に以下のプロセスで進みます。①売却意向の整理・アドバイザー選定 → ②企業価値評価(バリュエーション) → ③秘密保持契約(NDA)締結・買い手候補の探索 → ④トップ面談・条件交渉 → ⑤基本合意書(LOI)の締結 → ⑥デューデリジェンス(DD)→ ⑦最終契約・クロージング → ⑧PMI(経営統合)。

トラブルが最も多いのは②のバリュエーション(価値評価の食い違い)と⑥のDD(簿外債務・コンプライアンス問題の発覚)です。売り手が「自社の価値はもっと高い」と過信し、交渉が決裂するケースや、DDで重大な問題が発覚し契約が破談になるケースが後を絶ちません。

秘密保持と情報漏洩の防止

M&Aで最も怖いのが「売却検討中」という情報の漏洩です。従業員・取引先・金融機関に先に知れ渡ると、不安が広がり人材流出・取引解消・融資引き揚げが起きる可能性があります。

防止策として、①M&A仲介会社・アドバイザーとの秘密保持契約を厳格に締結する、②社内での情報共有は経営者とごく限られた役員のみに限定する、③ノンネームシート(匿名概要書)を使って会社名を伏せた状態でマッチングする、という3点が基本です。

PMI(統合後マネジメント)の重要性

M&A成功の鍵は「クロージング後のPMI」にあります。買い手・売り手ともにクロージングをゴールと思いがちですが、実際には統合後の100日間が最も重要です。この期間に文化・システム・人事制度の統合をスムーズに進めないと、従業員の離反・顧客の流出・シナジー効果の消失が起きます。

■ M&A後PMIの主なタスクと期間目安
PMIの項目 実施期間 主なトラブルリスク
組織体制・役職の整理 0〜30日 幹部離職・権限の混乱
人事制度・給与の統一 1〜6か月 処遇格差による不満・離職
ITシステム・業務フローの統合 3〜12か月 業務停滞・データ事故
企業文化の融合 1〜3年 組織分断・生産性低下

✅ メリット:中小企業M&Aは売り手市場で高評価を得やすい環境

少子高齢化による後継者不足と事業承継ニーズの急増により、中小企業M&A市場は売り手優位になっています。特に地域密着・独自技術・安定した顧客基盤を持つ企業は高く評価される傾向にあります。早めに市場価値を把握するだけでも、自社の強みを再認識する機会になります。

⚠️ 注意:仲介会社の選定ミスが最大のリスク

M&A仲介会社・FAは玉石混交です。手数料体系が不透明、買い手寄りの条件を押し付けてくる、秘密管理が甘いといった悪質な業者も存在します。仲介会社を選ぶ際は、①中小企業M&Aガイドラインに沿った業務を行っているか、②手数料・利益相反の有無を明示しているか、③実績・口コミを確認する、の3点を必ずチェックしてください。

トラブルを防ぐための専門家活用と支援制度

事業承継は法務・税務・財務・人事・経営戦略が複雑に絡み合う課題です。一人の専門家だけで解決しようとするのは無理があり、複数の専門家チームを組成して取り組むことが理想です。また、国や地方自治体による支援制度も充実していますので、積極的に活用しましょう。

頼るべき専門家とその役割分担

事業承継に関わる主な専門家は以下の通りです。それぞれの専門領域が異なるため、チームとして連携できる体制を整えることが重要です。

■ 事業承継に関わる専門家の役割と費用目安
専門家 主な役割 費用目安 相談窓口
税理士 税務スキーム・相続税・事業承継税制 月額顧問料+スポット費用 日本税理士会連合会
弁護士 遺言書・株主間契約・紛争解決 相談料5,000〜1万円/時間 日本弁護士連合会
公認会計士 企業価値評価・デューデリジェンス DD費用100万〜500万円 日本公認会計士協会
中小企業診断士 経営計画・後継者育成支援 相談料3,000〜8,000円/時間 中小企業診断士協会
M&A仲介・FA 買い手候補探索・交渉支援 成功報酬500万〜数千万円 各M&A仲介会社

事業承継・引継ぎ支援センターの活用

全国47都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」は、公的機関として無料相談・マッチング支援を提供しています。民間のM&A仲介会社より費用負担が少なく、地域の実情に詳しい専門家が対応してくれます。年間の相談件数は全国で10万件を超えており、実績も豊富です。

活用できる補助金・支援制度一覧

事業承継に活用できる主な公的支援制度を以下にまとめます。申請期限・条件が変わることがあるため、最新情報は中小企業庁または都道府県の担当窓口で確認してください。

①事業承継・引継ぎ補助金(最大800万円):M&Aや承継後の設備投資・販路開拓費用を補助
②中小企業経営力強化資金(日本政策金融公庫):承継後の運転資金・設備資金を低利融資
③事業承継特別保証制度:承継時の資金調達を信用保証協会が特別保証
④経営承継円滑化法の金融支援:民間金融機関からの借入を国が支援
⑤法人版・個人版事業承継税制:前述の通り、相続税・贈与税の最大100%猶予

✅ メリット:公的支援を組み合わせれば費用を大幅に削減できる

事業承継・引継ぎ補助金(最大800万円)と事業承継税制(最大100%猶予)を組み合わせることで、承継にかかるコストを大幅に圧縮できます。支援センターでの無料相談を起点に、補助金申請→税制活用という流れで進めると効率的です。

⚠️ 注意:補助金・税制の期限切れに注意

法人版事業承継税制の特例措置の適用を受けるための「特例承継計画」の提出期限は2026年3月31日、贈与・相続の期限は2027年12月31日です。この期限を逃すと大幅に不利な条件になります。また、事業承継・引継ぎ補助金も公募期間が限られています。今すぐ確認して間に合うかチェックしましょう。

中小企業の経営者が支援センターでアドバイザーに相談している様子

よくある質問(FAQ)

事業承継に関してよく寄せられる疑問にお答えします。自社の状況と照らし合わせながらご確認ください。

Q. 事業承継の準備はいつから始めればよいですか?
A. 理想は経営者が50代のうち、遅くとも60代前半から準備を開始することです。中小企業庁は「少なくとも5〜10年前からの着手」を推奨しており、後継者の育成・税務スキームの構築・株式の移転は時間をかけるほど選択肢が広がります。「まだ早い」と思っている間に健康問題や突発的な事態が起きることも少なくありません。まず事業承継・引継ぎ支援センターへの無料相談からスタートしましょう。
Q. 後継者候補がいない場合、M&A以外に選択肢はありますか?
A. M&A(第三者承継)以外にも、①従業員・幹部社員による「MBO(マネジメントバイアウト)」、②事業の一部だけを売却・分社化する「事業譲渡」、③同業他社との経営統合・合併、④専門会社への事業委託(フランチャイズ化)といった選択肢があります。MBOは後継者の株式取得資金が課題になりますが、日本政策金融公庫や信用保証協会の支援制度を使うことで実現可能です。廃業という選択肢もゼロではありませんが、廃業補助金(最大150万円)を活用してスムーズに事業を締める方法もあります。
Q. 相続税の支払いが難しい場合、どんな対策がありますか?
A. 相続税の納税対策として、①法人版事業承継税制(特例措置)による最大100%の納税猶予・免除、②生命保険(死亡保険金の非課税枠:500万円×法定相続人数)の活用、③相続税の「延納制度」(最長20年の分割払い)、④会社からの「退職金」支給による相続財産の圧縮、⑤持株会社の設立による株式評価額の引き下げ、といった方法があります。これらは組み合わせて活用することで効果が最大化されます。税理士と連携して自社に最適なプランを設計してください。
Q. 親族間で承継に反対している家族がいる場合、どう対処すればよいですか?
A. まず、反対している家族の「本音の不満」を丁寧に聞き出すことが大切です。多くの場合、「財産が少ない」「自分だけ蚊帳の外にされている」「後継者への不信感」といった具体的な不満が背景にあります。対処法として、①公平な財産分配プランを提示する(非後継者には不動産・生命保険などで補填する)、②家族会議を定期的に開き情報を共有し続ける、③弁護士や第三者の専門家を調停者として入れる、④家族信託を活用して客観的なルールを設定する、といった方法が有効です。感情的な対立は放置すると深刻化するため、早期に第三者を介入させることをおすすめします。
Q. 事業承継にかかるトータルのコストはどれくらいですか?
A. 事業承継のコストは承継方法と会社規模によって大きく異なります。親族内承継では、税理士・弁護士費用が50万〜300万円、相続税・贈与税が数百万〜数億円(税制活用で大幅圧縮可能)、種類株式設定・登記費用が20万〜50万円程度が目安です。M&Aでは、仲介手数料(レーマン方式:成約価格の5%前後)が数百万〜数千万円、デューデリジェンス費用が100万〜500万円かかります。一方、事業承継・引継ぎ支援センターの相談は無料、補助金(最大800万円)も活用できます。まずは無料で使える公的支援を起点に、費用対効果の高い計画を立てることをお勧めします。

📌 まとめ:事業承継トラブルを防ぐための5つの鉄則

  1. 今すぐ動く:準備は遅くとも60代前半、理想は50代から。10年前から動いた企業はトラブル発生率が60%低い。
  2. 書面で合意する:口頭の約束は無効。公正証書遺言・株主間契約・家族会議の議事録を必ず残す。
  3. 税制をフル活用する:事業承継税制(特例)を使
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