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税務・節税

企業版ふるさと納税のメリットと手続き完全ガイド

📅 2026年06月06日⏱ 約9分✍ 編集部

「企業版ふるさと納税に興味はあるけれど、自社にどんなメリットがあるのか、手続きが複雑そうで踏み出せない」——そう感じている担当者の方は少なくありません。実は2020年の税制改正により、企業の実質負担額は寄附額のわずか約10%まで下がり、今や多くの大企業・中小企業が積極活用しています。この記事では制度の仕組みからメリット・注意点、具体的な手続きの流れまで、数値と実例を交えて徹底解説します。

目次

  1. 企業版ふるさと納税とは?制度の基本をわかりやすく解説
  2. 企業版ふるさと納税の主なメリット
  3. 企業版ふるさと納税の注意点・デメリット
  4. 手続きの流れ・ステップバイステップガイド
  5. 活用事例・業種別シミュレーション
  6. 自治体・プロジェクトの選び方
  7. よくある質問(FAQ)

企業版ふるさと納税を検討するビジネスエグゼクティブ

企業版ふるさと納税とは?制度の基本をわかりやすく解説

制度の概要と正式名称

企業版ふるさと納税の正式名称は「地方創生応援税制」です。2016年度に創設され、企業(法人)が地方自治体の地方創生事業に寄附を行った場合に、法人税・法人住民税・法人事業税が大幅に軽減される仕組みです。個人版ふるさと納税と異なり、返礼品はありませんが、税制上の優遇が非常に大きいことが特徴です。

制度の根拠法は「地域再生法」であり、対象となる寄附先は内閣府が認定した「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を実施する地方公共団体(都道府県・市区町村)に限られます。

個人版ふるさと納税との違い

項目 企業版ふるさと納税(地方創生応援税制) 個人版ふるさと納税
寄附主体 法人(企業) 個人
返礼品 なし(禁止) あり(寄附額の30%相当まで)
実質負担率 約10% 約2,000円(自己負担上限後)
控除の種類 損金算入+税額控除(最大90%控除) 所得控除+税額控除
寄附先の制限 本社所在地の都道府県・市区町村は対象外 居住地以外であれば基本的に全国可
上限額 当期の法人税額の20% 住民税の20%など

2020年度税制改正で何が変わったか

2016年創設当初は税額控除率が最大30%でしたが、2020年度(令和2年度)の税制改正で最大60%へと大幅に引き上げられました。損金算入による節税効果と合わせると、実質的な負担額は寄附額の約10%まで圧縮されます。この改正により制度の利用件数は急増し、2021年度の寄附額は前年比で約2.8倍に拡大しました。

✅ メリットポイント

2020年改正後は損金算入(実質約30%の節税)+税額控除(最大60%)の合わせ技で、1,000万円の寄附でも実質負担は約100万円程度になります。CSR活動と節税を同時に実現できる点が最大の魅力です。

⚠️ 注意点

企業版ふるさと納税は法人税等が発生していることが前提です。赤字企業や法人税額が少ない企業は税額控除の恩恵を十分に受けられない場合があります。事前に税理士・顧問会計士と試算を行うことを強くお勧めします。

企業版ふるさと納税の主なメリット

メリット①:最大約90%の税負担軽減

企業版ふるさと納税の最大のメリットは、その圧倒的な税軽減効果です。寄附金は全額損金算入できるため、法人税率(約30%)を乗じた分が自動的に節税になります。さらにその上に税額控除(最大60%)が乗ってくるため、合計で最大約90%の税負担軽減が実現します。

寄附額 損金算入効果(約30%) 税額控除効果(最大60%) 実質自己負担額
100万円 約30万円 最大60万円 約10万円
500万円 約150万円 最大300万円 約50万円
1,000万円 約300万円 最大600万円 約100万円
3,000万円 約900万円 最大1,800万円 約300万円

メリット②:CSR・SDGs活動としてのブランド価値向上

企業版ふるさと納税は単なる節税ではなく、地域課題解決への貢献という社会的インパクトを生み出します。プレスリリースや統合報告書・ESGレポートに活用でき、投資家・求職者・取引先へのアピール材料になります。特にSDGs目標(11:住み続けられるまちづくり、17:パートナーシップで目標を達成しようなど)との関連を訴求できるため、昨今のESG投資の文脈で注目を集めています。

メリット③:人材派遣型で自社社員のキャリア開発にも活用できる

2021年度からは「企業人材派遣型」の企業版ふるさと納税が本格化しました。社員を自治体に一定期間派遣してノウハウを提供する取り組みで、寄附金換算での税制優遇が受けられます。社員にとっては地方行政の現場経験が積めるため、リーダーシップ育成・多様な視点の獲得につながり、研修コストの削減にもなります。

✅ メリットポイント

企業版ふるさと納税は返礼品なし=純粋に社会貢献という点が、対外的な信頼性の高さにつながります。「利益誘導型ではなく地域を真剣に応援している企業」として評価され、自治体との長期的なパートナーシップ構築にも発展しやすい制度です。

⚠️ 注意点

寄附の見返りとして経済的な利益(取引拡大・優遇措置など)を受けることは法律で禁止されています。自治体との関係構築は純粋な地域貢献の文脈で行い、利益誘導と受け取られないよう注意が必要です。

企業版ふるさと納税の注意点・デメリット

企業版ふるさと納税の注意点を確認する担当者

注意点①:本社所在地の自治体には寄附できない

企業版ふるさと納税には大きな制約があります。それは「本社が所在する都道府県・市区町村には寄附できない」というルールです。たとえば東京都新宿区に本社を置く企業は、東京都全体および新宿区への寄附は対象外となります。地域の自治体を支援したいと思っても、この制約により選択肢が絞られる場合があります。

なお、「本社」の定義は登記上の本店所在地ではなく、法人税の申告上の主たる事務所の所在地が基準となります。支店・工場・営業所がある自治体への寄附は原則として可能です。

注意点②:税額控除には上限がある

税額控除は当期の法人税額の20%が上限です。いくら多額の寄附をしても、法人税額が少ない企業では税額控除の効果が限定的になります。また、控除しきれなかった分の繰越はできないため、年度ごとの税額を見ながら寄附額を適切にコントロールする必要があります。

法人税額 税額控除の上限(20%) 最大寄附額の目安 備考
500万円 100万円 約167万円 控除率60%で計算した場合
1,000万円 200万円 約333万円 同上
3,000万円 600万円 約1,000万円 同上
1億円 2,000万円 約3,333万円 同上

注意点③:手続き・書類の準備に時間がかかる

自治体との事前相談から寄附完了・税申告まで、慣れていない担当者にとっては手間がかかります。特に初回は2〜3ヶ月程度の準備期間を見込むべきです。また、自治体によって受入窓口の体制が異なり、対応が遅い場合もあります。年度末(3月)に集中しがちなため、早めの着手が重要です。

✅ 対策ポイント

マッチングプラットフォーム(例:ふるさとチョイスfor Businessさとふるビジネスなど)を活用すると、自治体との連絡調整やプロジェクト選定が大幅にスムーズになります。初めての企業にはこうしたサービスの利用を強く推奨します。

⚠️ 注意点

寄附金の最低額は10万円です(2016年改正時から)。ただし、プロジェクトによっては数百万円〜数千万円規模での寄附を期待している自治体も多く、少額の場合は受け入れてもらえないケースもあります。事前の問い合わせが不可欠です。

手続きの流れ・ステップバイステップガイド

STEP1:自社の税額・寄附可能額を試算する

まず自社の経理担当者または顧問税理士と連携し、当期の法人税見込み額を確認します。税額控除の上限は法人税額の20%のため、この数字をもとに「いくらまで寄附すれば最大の節税効果が得られるか」を計算します。以下の計算式を参考にしてください。

最大寄附額の目安 = 法人税額 × 20% ÷ 60%(税額控除率)

例えば法人税が3,000万円の場合、最大寄附額の目安は1,000万円となり、その時の実質負担は約100万円です。

STEP2:寄附先の自治体・プロジェクトを選定する

内閣府のポータルサイト(地方創生推進事務局)や各種マッチングプラットフォームを使って、自社のCSR戦略・事業エリア・社会課題への関心に合ったプロジェクトを探します。選定のポイントは次のとおりです。

STEP3:自治体への事前相談・申し込み

寄附したい自治体の担当部署(企画政策課・地方創生推進室など)に直接連絡し、事前相談を行います。この段階で確認すべき事項は以下のとおりです。

STEP4:寄附の実行と証明書の受領

自治体との合意後、指定口座への振込または現金書留等で寄附を実行します。寄附後、自治体から「寄附金受領証明書(受領書)」が発行されます。この証明書は確定申告(法人税申告)時に必須の書類となるため、大切に保管してください。発行までの期間は自治体によって異なりますが、2週間〜1ヶ月程度が一般的です。

STEP5:法人税申告で税額控除を適用する

決算期末後、法人税の確定申告時に以下の税務処理を行います。

税目 控除の内容 控除率(最大)
法人税 税額控除 寄附額の40%
法人住民税 税額控除 寄附額の20%
法人事業税 税額控除 寄附額の最大10%(外形標準課税対象法人)
全税目合計 損金算入効果込み 実質最大約90%軽減

法人税申告書の別表(別表六)に寄附金の詳細を記載し、寄附金受領証明書のコピーを添付して提出します。

✅ 手続きのポイント

自治体によっては「寄附申出書」の提出を求める場合があります。この書類は寄附実行に提出が必要なケースが多く、手続きの順序を誤ると税制優遇が受けられなくなる恐れがあります。必ず自治体の指示に従い、順序通りに進めてください。

⚠️ 期限に注意

寄附は事業年度内(決算日まで)に実行する必要があります。年度末直前に駆け込もうとすると自治体の処理が間に合わない場合があります。遅くとも決算月の2ヶ月前には自治体への相談を開始しましょう。

活用事例・業種別シミュレーション

企業と自治体が連携する地方創生プロジェクトの場面

事例①:製造業(中堅企業・法人税額5,000万円)

東海地方に本社を置く製造業A社(従業員300名)は、九州の農業振興プロジェクトに1,500万円を寄附。自社の食品加工部門との連携も将来的に視野に入れつつ、CSR活動として情報発信。実質負担は約150万円で、社内報・採用サイトでのPR効果もあり、新卒採用の応募数が前年比15%増となりました。

事例②:IT企業(法人税額2,000万円)

東京都渋谷区のITベンチャーB社は、地方自治体のDX推進プロジェクトに500万円を寄附。自社エンジニアを3ヶ月間派遣し、行政システムの改善に協力。社員のキャリア開発になったうえ、実質負担は約50万円。自治体との関係が深まり、翌年度以降の受託業務にもつながりました。

事例③:小売業(法人税額1,000万円)

関西地方の小売チェーンC社は、北陸の観光振興プロジェクトに300万円を寄附。観光地のPR素材を自社店舗で活用し、地産地消商品の販売促進にも波及。実質負担は約30万円で、地域ブランドとのコラボによるPR効果は自社試算で約500万円相当。

業種 寄附額 実質負担額 副次的な効果
製造業 1,500万円 約150万円 採用応募数15%増
IT企業 500万円 約50万円 自治体との受託業務拡大
小売業 300万円 約30万円 地域ブランドとのコラボPR効果約500万円
建設業 1,000万円 約100万円 地方拠点整備・人材確保に貢献

✅ 業種別おすすめの活用方法

自社の本業と親和性の高いプロジェクトを選ぶことで、節税効果+CSR効果+ビジネス機会の三重のメリットが生まれます。例えば食品メーカーなら農業・食育支援、建設会社なら防災・インフラ整備、通信会社なら農村ICT整備など、本業の延長線上で選ぶと社内外への説明がしやすくなります。

⚠️ 事業との結びつきに注意

寄附先の自治体での取引拡大や受注を条件とした寄附は認められません。地域課題解決を純粋な目的とした寄附でなければなりません。結果的に自治体との取引が生まれることは問題ありませんが、最初から取引を条件に設定することは違法となります。

自治体・プロジェクトの選び方

プロジェクトの種類と特徴

企業版ふるさと納税の対象となるプロジェクトは、内閣府が認定した「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に限られます。主なカテゴリーは以下のとおりです。

自治体選定の4つのチェックポイント

闇雲にプロジェクトを選ぶのではなく、以下の4点を必ず確認してください。

  1. 内閣府の認定状況:内閣府ポータルサイトで当該プロジェクトが認定済みであることを確認
  2. 事業計画の具体性:KPI(目標数値)・スケジュール・成果報告の仕組みが整っているか
  3. 担当者の対応力:初回問い合わせへの返答スピードと質が自治体の本気度を示す
  4. 過去の実績・評判:既存の寄附企業の声、自治体のIR情報、地域メディアの報道を参照

マッチングプラットフォームの活用

個別に自治体を探すのが大変な場合は、マッチングプラットフォームを活用すると効率的です。主なサービスを比較します。

サービス名 掲載自治体数(目安) 手数料・費用 特徴
ふるさとチョイス for Business 1,500自治体以上 無料(自治体負担) 掲載数最大規模・検索機能充実
さとふるビジネス 600自治体以上 無料(自治体負担) 企業と自治体の直接相談サポート
内閣府ポータルサイト 全認定事業掲載 完全無料 公式情報源・認定状況の確認に最適
地方創生SDGs官民連携プラットフォーム 参加自治体多数 無料 SDGs視点のマッチング・交流会も開催

✅ おすすめの選び方

まず内閣府ポータルで大まかに絞り込み、次にふるさとチョイスfor Businessで詳細を確認、気になる自治体には直接連絡する——という3ステップが最も効率的です。年に数回開催される「企業版ふるさと納税マッチング商談会」(内閣府主催)への参加も、一度に多くの自治体と面談できるためお勧めです。

⚠️ 認定失効に注意

内閣府の認定プロジェクトには有効期限があります。期限切れのプロジェクトへの寄附は税制優遇の対象外となります。寄附実行前に必ず最新の認定状況を内閣府ポータルで確認してください。自治体の担当者に確認するのも有効です。

企業ボランティアと地域住民が協力する地方創生イベントの様子

よくある質問(FAQ)

Q. 中小企業でも企業版ふるさと納税は活用できますか?
A. はい、活用できます。企業規模に関係なく、法人税を納めていれば利用可能です。ただし法人税額が少ない場合は税額控除の上限(法人税額の20%)も低くなるため、実質的な節税効果は規模に比例します。中小企業の場合は100万円〜300万円程度の寄附から始める事例が多く、実質負担10万〜30万円で地域貢献とCSR効果を得られます。まずは顧問税理士と当期の法人税見込みを確認してから金額を決めましょう。
Q. 赤字企業や法人税が0円の場合はどうなりますか?
A. 残念ながら、法人税額が0円(赤字)の場合は税額控除の効果がゼロになります。ただし損金算入の効果は翌期以降の黒字との相殺(繰越欠損金)で間接的に生かせる可能性はあります。また、法人住民税・法人事業税が課されている場合はそちらの税額控除が適用できるケースもあります。詳細は必ず税理士に相談してください。
Q. 寄附金の使途は企業側で指定できますか?
A. 寄附するプロジェクト(事業)は企業が選択できます。ただし、寄附金の具体的な使い方(備品購入・人件費・イベント費用など)を企業が細かく指示することは原則としてできません。プロジェクト単位での応援という形になります。中には寄附者との連絡協議会を設け、進捗を共有する自治体もあります。事前の相談で「こんな活動に使ってほしい」という希望を伝えることは可能です。
Q. 複数の自治体に同時に寄附することはできますか?
A. はい、可能です。複数の自治体・プロジェクトに分散して寄附することは認められています。ただし合計の税額控除額が法人税額の20%を超えることはできません。たとえば法人税額が1,000万円の場合、税額控除の合計上限は200万円(控除率60%なら寄附総額で約333万円まで)です。複数の自治体に寄附する場合は、合計額の管理をしっかり行ってください。
Q. 企業版ふるさと納税と通常の寄附金控除は何が違いますか?
A. 通常の法人の寄附金は「損金算入限度額」(資本金額等に応じた計算式)の範囲内でしか損金算入できず、税額控除もありません。一方、企業版ふるさと納税は全額損金算入+税額控除(最大60%)のダブル優遇が受けられる特別な制度です。同じ1,000万円の寄附でも、通常の寄附金と企業版ふるさと納税では手元に残る金額が大きく変わります。企業版ふるさと納税の対象要件(認定プロジェクト・本社所在地以外の自治体)を満たすならば、企業版ふるさと納税を選択する方が圧倒的に有利です。
Q. 制度の期限はいつまでですか?
A. 現在(2025年時点)、企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は2025年度末(令和7年3月31日)までの時限措置とされています。ただし過去に延長が繰り返されており、今後も延長される可能性は高いとみられています。確定情報は毎年度の税制改正大綱で確認し、最新の情報を内閣府や税理士からアップデートするようにしてください。制度終了前に滑り込みで活用しようとすると手続きが間に合わない可能性があるため、早めの行動が重要です。

まとめ:企業版ふるさと納税を今すぐ始めるための3つのアクション

企業版ふるさと納税は、「実質負担約10%で地域貢献できる」という非常に優れた制度です。2020年度の税制改正で大幅に優遇が強化され、今や大企業から中小企業まで幅広い法人が活用しています。この記事の内容を踏まえ、まずは以下の3つのアクションを起こしましょう。

  1. 顧問税理士に当期の法人税見込み額を確認する(→寄附可能額の試算)
  2. 内閣府ポータルまたはマッチングプラットフォームで自社に合ったプロジェクトを探す
  3. 気になる自治体に問い合わせ、事前相談の日程を決める(→遅くとも決算2ヶ月前に)

節税・CSR・人材育成の三拍子が揃った企業版ふるさと納税を、ぜひ自社の経営戦略に取り入れてください。制度の詳細は毎年度変わる可能性があるため、最新情報は内閣府地方創生推進事務局の公式サイトまたは顧問税理士にご確認ください。

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