「AWSへの移行を検討しているけれど、どの支援会社に頼めばいいかわからない」「費用や期間の相場が不透明で不安…」そんな悩みを抱えるIT担当者・経営者は多いはずです。AWS移行は自社だけで進めようとすると、コスト超過・スケジール遅延・セキュリティリスクなど数多くの落とし穴があります。本記事では、実績・費用・サポート体制など多角的な視点からおすすめのAWS移行支援会社を厳選し、失敗しない選び方のポイントまで徹底解説します。
目次

AWS移行支援会社とは、オンプレミス環境や他クラウド環境からAmazon Web Services(AWS)への移行をトータルでサポートする企業のことです。単なるシステム構築だけでなく、現状のインフラ診断・移行計画策定・実際の移行作業・移行後の運用最適化まで一貫して支援します。
自社だけでAWS移行を進めようとした場合、AWSの専門知識を持つエンジニアの確保、移行中のシステムダウンタイムの最小化、セキュリティ設計の最適化など、専門性の高い課題に直面します。こうした課題を解決するために、AWS移行支援会社へのアウトソースが有効な選択肢となります。
IDC Japanの調査によると、国内クラウドマネージドサービス市場は2023年に約8,500億円規模に達し、2027年には約1兆5,000億円を超えると予測されています。企業のDX推進・レガシーシステム刷新・コスト削減ニーズを背景に、AWS移行支援の需要は右肩上がりで拡大中です。
AWSはAWSパートナーネットワーク(APN)を通じて、パートナー企業を「プレミア」「アドバンスト」「セレクト」の3ティアに認定しており、この認定レベルは支援会社選びの重要な指標となります。2024年時点で国内のAPNパートナー企業は2,000社以上に上りますが、実際に高品質な移行支援を提供できる企業は限られています。
AWS移行には大きく分けて以下の4種類があります。移行支援会社を選ぶ際は、自社が希望する移行タイプに対応できる実績を持つ会社かどうかを確認することが重要です。
| 移行タイプ | 概要 | 難易度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| リフト&シフト(Rehost) | 既存システムをそのままAWSに移す | 低〜中 | コスト削減・インフラ集約 |
| リプラットフォーム(Replatform) | 一部最適化してAWSに移行 | 中 | パフォーマンス改善 |
| リファクタリング(Re-architect) | クラウドネイティブに再設計 | 高 | DX推進・モダナイゼーション |
| データベース移行 | DBをAurora・RDS等に移行 | 中〜高 | パフォーマンス・可用性向上 |
数千社以上あるAWSパートナーの中から、APNティア・支援実績・費用感・サポート体制・評判などを総合的に評価し、特に法人向けAWS移行支援において高い評価を得ている8社を厳選しました。各社の特徴を把握したうえで、自社のニーズに最も合った会社を選びましょう。
| 会社名 | APNティア | 得意領域 | 移行実績(目安) | 費用感 | こんな企業におすすめ |
|---|---|---|---|---|---|
| クラスメソッド | プレミア | AWSオールラウンド・データ活用 | 2,000社以上 | 中〜高 | データ分析基盤も含めて移行したい企業 |
| サーバーワークス | プレミア | 中堅企業向けAWS移行・MSP | 4,000社以上 | 中 | コスト重視・運用まで任せたい中堅企業 |
| 野村総合研究所(NRI) | プレミア | 金融・大手企業向け基幹系移行 | 非公開(大規模多数) | 高 | 金融・製造の基幹システム移行 |
| 富士ソフト | アドバンスト | 製造・流通業向けシステム移行 | 500社以上 | 中〜高 | 製造業・ERPを含む移行案件 |
| SCSK | プレミア | エンタープライズ向け大規模移行 | 1,000社以上 | 高 | 大企業のマルチクラウド・大規模案件 |
| アイレット(cloudpack) | プレミア | スタートアップ〜中堅企業向け | 4,000件以上 | 低〜中 | スピード重視・コスト抑えたい企業 |
| TIS | プレミア | 金融・流通・製造向けDX推進 | 非公開(業界実績多数) | 中〜高 | DX推進・モダナイゼーションを伴う移行 |
| ソフトバンク | プレミア | 通信・セキュリティ統合型移行 | 1,500社以上 | 中〜高 | 回線・セキュリティもまとめて刷新したい企業 |
① クラスメソッド
AWSに特化した技術ブログ「Developers.IO」で国内最大規模の情報発信を行うクラスメソッドは、2,000社以上のAWS導入・移行実績を持つプレミアパートナーです。データ分析基盤(Amazon Redshift・Athena等)の活用支援に特に強みを持ち、移行後のコスト最適化支援(AWS Cost Optimization)も充実しています。IT企業・スタートアップ・メディア企業からの支持が厚いです。
② サーバーワークス
「AWSに特化する」という明確な方針のもと、4,000社以上の実績を持つプレミアパートナーです。中堅・中小企業向けの移行パッケージが充実しており、月額固定型のMSP(マネージドサービスプロバイダー)サービスは特に評判が高いです。費用の透明性が高く、初めてクラウド移行を行う企業に向いています。
③ アイレット(cloudpack)
「cloudpack」ブランドで知られるアイレットは、4,000件以上の構築・移行実績を誇ります。リーズナブルな価格設定と迅速な対応が特徴で、スタートアップや予算が限られた中堅企業に特に人気があります。24時間365日のサポート体制も整っています。
クラスメソッドやアイレットのようなAWS専業系企業と、NRI・SCSK・TISのような大手SIer系企業では、強みが異なります。以下の比較表を参考に、自社の規模・要件に合った選択を行ってください。
| 比較項目 | AWS専業系(クラスメソッド等) | 大手SIer系(NRI・SCSK等) |
|---|---|---|
| 得意な企業規模 | スタートアップ〜中堅 | 中堅〜大企業 |
| 費用感 | 比較的リーズナブル | 高め(その分サポート手厚い) |
| スピード | 迅速(アジャイル対応可) | やや時間がかかる場合あり |
| AWS技術の深さ | 非常に高い | 高いが他技術も兼ねる |
| 基幹系・複雑案件 | 対応可能だが要確認 | 得意(大規模実績豊富) |
| 運用後サポート | MSPサービスで充実 | 総合ITサービスとして提供 |

AWS移行支援会社を選ぶ際の最初のチェックポイントは、AWSパートナーネットワーク(APN)の認定レベルです。「プレミア」「アドバンスト」「セレクト」の順に高い認定基準をクリアしており、プレミアパートナーは最上位の認定を受けた企業です。
さらに重要なのが「コンピテンシー認定」の有無です。AWSは「移行(Migration)」「DevOps」「セキュリティ」「金融サービス」など特定領域に特化したコンピテンシーを設けており、移行プロジェクトであれば「Migration Competency」を取得している会社を優先的に選びましょう。
AWSの技術力が高くても、自社と同じ業種・同規模のプロジェクト経験がない会社に依頼すると、業界特有の要件(セキュリティ基準・法的規制・業務システムの複雑さ等)への対応が不十分になるリスクがあります。
商談の際には「我々と同じ業種・規模での移行実績を教えてください」「具体的にどのようなシステムを移行しましたか?」と積極的に質問し、実績資料(事例集・ケーススタディ)の提示を求めましょう。
AWS移行支援の費用は、会社によって「固定費用型」「工数ベース型(人月単価×工数)」「成果報酬型」など様々な体系があります。特に注意すべきは「移行後の追加費用」です。移行作業自体は安くても、移行後の運用・保守・トラブル対応が別料金になっているケースが多いため、トータルコストで比較することが重要です。
AWS移行のゴールは「移行完了」ではなく「安定稼働」です。移行後には予期しないトラブル・コストの最適化・AWS新サービスへの対応など、継続的なサポートが必要になります。移行後のMSP(マネージドサービスプロバイダー)サービスを提供しているか、サポートの応答時間・対応時間帯(24時間365日対応か否か)を必ず確認しましょう。
会社全体の評判が高くても、実際に担当するエンジニアの力量が低ければプロジェクトは失敗します。AWS認定資格には「AWS認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル」「AWS認定DevOpsエンジニア – プロフェッショナル」などの上位資格があり、担当エンジニアが上位資格を保有しているかどうかは重要な判断基準です。
商談時には「担当予定のエンジニアのAWS認定資格の保有状況を教えてください」と確認しましょう。優良企業であれば、担当者のスキルシートを提示してくれるはずです。
| 確認ポイント | 確認方法 | 重要度 |
|---|---|---|
| APNプレミアパートナー認定 | AWS公式パートナー検索で確認 | ★★★★★ |
| Migration Competency取得 | AWS公式サイト・会社HPで確認 | ★★★★★ |
| 同業種での移行実績 | 商談時に事例資料を要求 | ★★★★☆ |
| 移行後の運用サポート有無 | MSPサービス内容を確認 | ★★★★☆ |
| 担当エンジニアの上位資格保有 | 商談時にスキルシート要求 | ★★★★☆ |
| 費用の透明性・追加費用の有無 | 見積書の詳細を精査 | ★★★★☆ |
| 24時間365日サポート体制 | SLA(サービスレベル合意書)を確認 | ★★★☆☆ |
AWS移行支援の費用は、移行するシステムの規模・複雑さ・移行タイプによって大きく異なります。以下の表は、規模別の一般的な相場目安です。ただしこれはあくまで参考値であり、実際の費用は個別の要件によって変動します。必ず複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
| 企業規模 | 移行規模の目安 | 支援費用の目安(税抜) | 移行期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 小規模(スタートアップ・SMB) | サーバー5台以下・Webシステム1〜2本 | 50万〜200万円 | 1〜3ヶ月 |
| 中規模(中堅企業) | サーバー10〜50台・基幹系含む | 200万〜1,000万円 | 3〜6ヶ月 |
| 大規模(大手企業) | サーバー50台以上・複数システム連携 | 1,000万〜1億円以上 | 6ヶ月〜2年 |
| データベース移行(単独) | DB1〜5本の移行 | 100万〜500万円 | 1〜3ヶ月 |
移行支援費用(初期費用)に加えて、移行後のAWS利用料(月額)も重要なコスト要素です。一般的に、オンプレミス環境からAWSへ適切に移行した場合、インフラコストを年間20〜40%削減できると言われています。ただしリソースの設計が適切でないと、逆にコストが増加するケースもあるため、コスト最適化の支援も提供している会社を選ぶことが重要です。
AWSには「Migration Acceleration Program(MAP)」という公式支援プログラムがあり、対象となるプロジェクトにはAWSクレジット(AWS利用料の割引)が提供されます。MAPを適用できるかどうかはAPNパートナーを通じてAWSに申請する必要があるため、支援会社選びの段階でMAPへの対応可否を確認することをおすすめします。MAPが適用されると、数十万〜数百万円のAWSクレジットが付与されるケースもあります。

AWS移行プロジェクトの最初のステップは、現行インフラの現状分析(アセスメント)です。具体的には以下の作業を行います。
このアセスメント工程を丁寧に行うかどうかが、移行プロジェクト全体の成否を大きく左右します。優良な支援会社ほど、この初期アセスメントに十分な時間とリソースをかけます。目安として2〜4週間程度かけて実施するのが適切です。
アセスメント結果をもとに、具体的な移行計画を策定します。移行計画には以下の要素が含まれます。
いきなり全システムを移行するのではなく、まずリスクの低い非本番環境や重要度の低いシステムでパイロット移行を実施します。パイロット移行で問題がないことを確認してから、段階的に本番システムの移行を進めます。本番移行は通常、システムへの影響が最小化される深夜・週末に実施し、移行後の動作確認を徹底的に行います。
移行完了後は、AWSリソースのコスト最適化・パフォーマンス最適化・セキュリティ強化を継続的に行います。具体的にはAWS Cost Explorerを使ったコスト分析、未使用リソースの削除・ダウンサイジング、AWS TrustedAdvisorを活用したセキュリティ・可用性の改善などが含まれます。
AWS移行の最もよくある失敗のひとつが「移行後のコストが想定より高かった」というケースです。原因として多いのは、オンプレミスのサーバースペックをそのままAWSインスタンスに置き換えてしまうことによる過剰スペック、データ転送料金の見落とし、未使用のリソースが放置されていることなどです。
対策としては、移行前にAWS料金計算ツール(AWS Pricing Calculator)を使って詳細なコスト試算を行い、移行後も定期的なコスト最適化レビューを実施することが重要です。
移行作業中のシステムダウンタイムが長引き、ビジネスに大きな影響が出るケースも頻発します。特に24時間稼働が求められるシステムの移行では、ダウンタイムを最小化するための「ライブマイグレーション」「ブルーグリーンデプロイ」などの手法を適用する必要があります。移行計画策定時に、システムごとの許容ダウンタイムを明確にし、それに対応できる移行手法を選択することが重要です。
AWSへの移行後に、セキュリティグループの設定ミスや過剰なアクセス権限の付与により、情報漏洩・不正アクセスが発生するケースがあります。AWSの「責任共有モデル」を理解したうえで、AWS WAF・AWS Shield・AWS CloudTrailなどのセキュリティサービスを適切に設定する必要があります。移行支援会社に依頼する際は、セキュリティ設計の対応範囲を契約前に明確にすることが重要です。
外部の支援会社に移行を任せたものの、移行後に自社でAWSの運用・管理ができず、すべてを支援会社に依存し続けるケースがあります。これはコスト増加だけでなく、支援会社との関係が悪化した際のリスクにもなります。移行プロジェクトの中で、自社エンジニアへのAWS知識移転(トレーニング)を計画的に実施することが重要です。
| 失敗パターン | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 移行後コストが高い | サイジング過剰・見えない費用 | 事前のコスト試算・定期的な最適化レビュー |
| ダウンタイムの長期化 | 移行計画の甘さ・テスト不足 | ブルーグリーンデプロイ・ロールバック計画の徹底 |
| セキュリティインシデント | 設定ミス・権限管理の不備 | セキュリティ設計の専門家による確認・WAF設定 |
| 移行後の運用困難 | 社内スキル不足・属人化 | 移行時の社内教育・ドキュメント整備 |
| プロジェクト遅延 | 要件定義不足・スコープクリープ | 初期アセスメントの徹底・スコープ管理の厳格化 |

本記事では、AWS移行支援会社の選び方からおすすめ8社の比較、費用相場、移行手順、よくある失敗と対策まで詳しく解説しました。最後に、最も重要なポイントを整理します。
AWS移行は自社のITインフラを大きく変える重要なプロジェクトです。信頼できる支援会社と組むことで、コスト削減・スケーラビリティ向上・DX推進など、クラウド移行の恩恵を最大限に享受できます。本記事の情報を参考に、自社に最適なAWS移行支援会社を選んでください。